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ルナティックナイト―6 ページ16

ーバシャン、バシャン

もう、下駄の音は響かない。


片足の下駄は脱げたし、バランスが悪いので辛うじて履いていた下駄もその場で脱ぎ捨てた。


裸足で雨が張っている地面を歩いて、女の元まで向かう。

彼女はもう戦意は無くしたらしく、両方の膝を地面につけていた。



ー殺せ!殺せ!




オレはもう一度ナイフを握り直した









ードッ




短く、音がした。



そのあと女は重力に従ってオレの方へと倒れてくる。


女の頭はオレの肩へともたれかかり、オレはその体重を支える。





ー殺せ!殺せ!欲望を満たせ!!



「いい加減うるさいぞ、殺人衝動(オレ)



まだこの女が生きていることに不満を持つのか、オレの本能は騒がしい。


ふぅ、とようやく、ため息をついたその時。


嫌な予感が全身を走った。




背後を振り返ると男が一人、そこにたたずんでいた。


ふわりとたなびく金の髪。

引き込ませれそうな蒼い目の色。

黒く焼かれた肌の色。



その特徴的なものを持つ人物を、オレは1人しか知らない。




「今夜は良い夜だな。



ー安室。」

プロポーズの日―1→←ルナティックナイト―5



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作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

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