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「風邪の時はもりもり食べるのが一番だからね」





藤ヶ谷さんの言葉に大事なことを思い出した。

しまった。アホなわたしはすっかり忘れていた。

わたし・・・マスク取れないじゃん。



うわあ、やらかした。どうしてファミレス来る前にあざのこと思い出さなかったんだろう。


そんなんだから社会で最下位とるんだよ。

自分のアホさを改めて痛感した。



どうしよう。




「ん?どうしたの?食べないの?」




ハンバーグを見つめるだけで手を付けないわたしを不審がって声をかけてきた藤ヶ谷さん。




うわあ、ほんとにどうしよう!

お腹が痛くなりましたって言って帰る?
いや、だめだ。いくらわたしでもそんな非常識なことできない。

どうしよう。どうしようどうしようどうしよう!





「あ、もしかして奢りなこと気にしてる?それだったら本当に気にしないで。俺も一応社会人だし、ファミレスなんて大した額じゃないから(笑)」




それでもわたしはマスクを取れない。




「ねえ、ほんとにどうしたの?大丈夫?」





藤ヶ谷さんなら大丈夫。心のどこかで思った。





「いや、・・・あの、・・・ウチの家庭って・・・普通じゃなくて・・・」




そう言いながら恐る恐るマスクを外した。


驚かれると思っていたのに藤ヶ谷さんは表情ひとつ変えず、





「やっぱり」



「えっ、」



「なんとなく、そうじゃないかって思ってた。
俺さ、大学の頃、心理学を学んでたんだ。だから(人1)ちゃんの様子を見てて、ちょっと勘づいてた。それに、昨日マスクの横からちょっと見えてたんだ。暗くて断定は出来なかったし、俺から言うもんでもないかなって黙ってたんだけど」




ごめんね。って何故か謝る藤ヶ谷さん。
藤ヶ谷さんは悪くないのに。




「だから何かあったらいつでも連絡してね。俺で良ければ力になるから」




ありがとうございます。という意味を込めて小さく頭を下げた。





「で?」



「?」



「なにを企んでたの?(笑)」




急にその話する?

ハンバーグ喉に詰まるかと思った。



凄くニコニコな藤ヶ谷さん。まるで秘密基地を見つけた子供のよう。





「・・・・・・なんか楽しんでます?」



「え〜(笑)健気な恋を応援してるだけだよ」





いやいや、絶対楽しんでんじゃん。



ていうか昨日、「玉のこと好きになるのはやめた方がいい」って言ったの藤ヶ谷さんだよね?


もう一体どういうこと?








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作者名:にこまる | 作成日時:2018年7月16日 1時

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