29話 百発百中の腕 ページ30
当たっただろうか、私の矢は。当たったはずだ。私はメサイアを継承してから、ずっと鍛練を積んできたから。きっと努力の賜物に違いない。私は、一発たりとも外したりしない。
あの時探偵団一行から離れてから、病院に届くであろういい場所を探していた。そして今、病院から近めのスーパーの非常階段の辺りにいる。スーパーにエスカレーターがあるため、ほとんど人はここを使わないようにも見えた。ちなみに、さっきまでかけていた電話は射る前に切った。気が散るから。とにかく、私にできることは終わった。帰るか。
「また変わらず弓の無駄遣いしてるのー?」
振り返った先にいたのは...
「独り言を黙って聞いている趣味はない。それじゃ」
「本当に姉に冷たいわね」
誰がお前の妹なんだ。実際、血のつながりもない癖に。いや、ないからこその今か。
「分かっているわよね。メサイアは貴方のものじゃなくて私のものなの。早く返してちょうだい」
勿論、そんなわけはない。継承した者が所有するものであり、所有権を得るものだ。血のつながりなんてものは関係ない。
「お前のものなら尚更、私が所有するわけないがな。お前に構う時間はないから、それじゃ」
パチンと指を鳴らしてからその場を後にした。
「ありがとう。助かったよ」
帰り道でトウマと再会してまた、話していた。早く終わったからか、空はまだ赤くはない。
「また、助けられちゃったな」
「助けるのが私の使命なんだ。これくらいは当たり前だ」
実際そうなんだ。メサイアを継承した時に誓ったんだ。他人である私を拾って、力をくれた祖父のためだ。
「そうだ」
「?」
「Aが転校してくる前のこととか知りたいな」
一瞬固まってしまった。まさか家の話しないといけないのか。流石にその話をする訳にはいかない。どうしても、姉と母の面倒ごとに巻き込みたくない。
「今話したらお前を巻き込むことになる。話せない」
「巻き込む?」
「私が転校した理由は転勤とか、そうゆう簡単な理由じゃないんだ。だから...」
なんとなく天然に見えるトウマでも流石に汲み取ってくれるだろう。だから...
「分かった。でも...」
「何か、大変なことがあるのなら僕に話してほしいな。僕だって、助けられてばかりじゃなくて役に立ちたいから」
ずっと、訳が分からなかった。なんでこんなに私に関わるのか。未だに分からないけど、嫌な感じもしないものだな。
「分かった」
隣のトウマが微笑んでる気もした。
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
35人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Milkcat(プロフ) - 珠華姫さん» ありがとうございます!楽しんでもらえるような小説が書けるように頑張ります! (2019年8月7日 22時) (レス) id: f6a5fa765e (このIDを非表示/違反報告)
珠華姫(プロフ) - すっごくおもしろいです!更新頑張ってください!無理はしないで下さいね。楽しみにしてます! (2019年8月7日 21時) (レス) id: 8b16303676 (このIDを非表示/違反報告)
Milkcat(プロフ) - kotorin♪さん» 感想ありがとうございます!更新遅くなってしまってますが、出来る限り更新するので読んでいただけると嬉しいです! (2019年7月28日 23時) (レス) id: 444fb6a5c2 (このIDを非表示/違反報告)
kotorin♪(プロフ) - 凄く面白いですね!続きが気になります!頑張ってください! (2019年7月28日 21時) (レス) id: cc2a8c7850 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Milkcat | 作成日時:2019年7月19日 10時