好きだ 2【JO1】 (ページ1)

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TAKUMI ページ1

Takumi side

高校の入学式は、やけに緊張する。よく知らん人が集まるクラスに馴染めるかが不安やった。

校門のあたりにはクラスが貼られていて、自分のクラスがどこかを探そうとする。

少し離れた場所に、大きな桜の木が1本だけあることに気がついた。自分のクラスを確認してから、その桜の木に近づいた。

木の下に、恐らく同級生だと思われる女子が立っていた。普通ならスルーするはずやのに、なぜか、目が離せへんかった。

彼女の瞳が眩しそうに揺れていて、綺麗な黒髪を靡かせていた。しばらく見惚れていたけど、もうすぐ時間だということを思い出して、急いで教室に向かった。

俺の隣の席に、さっき見ていた人が座ってきたときの衝撃はもう忘れられない。

それからしばらくして、俺と彼女は仲良くなった。名前はAというらしい。「拓実くん」「A」と呼び合うくらいには仲良くなった。

「拓実くん、帰ろう！」
拓「せやな。帰るか」
「明日のクラスマッチ、楽しみだね！」
拓「Aは何に出るん？」
「バドミントン！拓実くんは外で野球するの？」
拓「おん、そのつもりやで」

明日を夢見たり、色々なことを語り合ったりした。

だけどしばらくすると、こんなに喋っていたものが少なくなった。

「…拓実くん」
拓「おん、行こか」

いつの間にか、言葉を無くしてしまっていた。

そして、Aから少しずつ避けられるようになってしまっていた。どうして避けるのかを知りたかったけど、なかなか話しかけられずにいた。

…あんなに一緒にいたのに、Aの痛みにも苦しみにも、気づいてあげられることは出来ひんかった。

.

1人で帰っていると、よく2人で寄り道した公園に彼女がいた。

拓「…！A！」
「たっ、……なんで」
拓「なんでって…おったらあかん？」
「いや…」
拓「…なんで、最近避けるん？」
「避けてなんか」

彼女と話していると、彼女が少し怯えている目をしていることに気づいた。

拓「なあ、A。誰かに何かされたん？」
「……言えない」

その返答を聞いて全てを察した。きっと彼女は、誰かから何かしらの嫌がらせみたいなものを受けていたのだろう。

どうしてもっと早く気づけなかったんだろうか。