. ページ34
You side
「っはー…！ええなぁ森！」
ロボロくんがそう声を上げる。エミくんも私もそれに笑いつつ、思うことはほぼ同じだ。
ずっと座っているのも疲れたな、という全員の意見で、先生が話していた森へと来ていた。ぐっ、と背伸びをすればなんだか頭もすっきりする。
昔かららんらんの影響で自然というものが好きだから、この場はとても居心地が良かった。ちなみに彼は周辺散策を選んだらしいけど。
「俺、ゾムとかコネシマからなんでアスレチックじゃないねん！って散々言われててんけど、こっち来てよかったわ」
『え、そうなんですか』
「あぁ。生徒会で言い寄られとりましたね」
彼がここにいるのは私のせいといっても過言ではない。…まぁ、最終決定したのは彼だしこれに関しては言うことないけども。
それにしたってここの森、昨日鬱くんと来たところじゃあないだろうか。木の感じが似ているし…。自分のカメラでも持ってればなと思いつつ、学校用から配布されたもので風景を撮る。
『…あ。ねぇロボロくん、木と一緒に写真取ってもいい？』
「え、俺？ええけど」
班員が写ってる写真ないなと考えて、そう声をかけた。こちらに寄ってきて、ピースしてくれる彼に合図をかけ、一枚撮る。
撮ったそれを見直し、撮り直しも必要ないなと思って電源を切る。
「そういえば、昨日大先生がおっしゃってましたよ。Aさん、写真撮るの上手いって」
『わ、そうなんです？嬉しい』
「はえー…確かこの前の体力測定の50m走めっちゃ速かったんやろ？クラスの子から聞いたわ。
凄いなあAさん。なんでもできそう」
ロボロくんの言葉に、一瞬固まる。
…違う。違うんだ。何でもできるわけじゃない。出来たって、それで得したことだって、一度もない。
"いつもそう！Aが居なかったら、一番になってたのは私だったのに…！"
『…っ』
脳裏に浮かぶは、いつかにかけられた言葉。
いつだったっけ、誰からだったか。
思い出したくもなくて、その出来事から目を背けたくて。ずっと、ずっとずっと、ただ絵を描いて___
「Aさん？」
『っあ』
「大丈夫？なんか顔色悪ないか？」
ハッと我にかえる。心配そうな顔。
…ああ、一体、どれだけ彼らに気を使わせれば気が済むんだ、私は。
『…大丈夫ですよ』
震える手をぐっと握って隠す。
平気だと、彼らは、そんなこと言う人たちではないとわかっていても。
ああ、私今、
うまく笑えてるのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 799人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理！わかっていただけて安心しました、大正解です！！ (2020年12月25日 6時) (
レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね？！ (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします！！ (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね！！（確定）これからも更新応援しています！ (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです（号泣）作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので（願望）これからもどうぞよろしくお願いしますー！ (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：森樂 | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時：2020年12月3日 23時
