第8話 ページ23
『…。』
皆で作ったミンジュン君のお墓に、甲本さんが彼の着ていたウィンドブレーカーを括り付けた。
いつも隣にいた彼のお墓を呆然と見つめる。
悲しいはずなのに、もう涙は出なかった。
｢お花の種…ミンジュンが寂しくないように。｣
そう言って、今度は紹子さんがお墓に花の種を蒔いて手を合わせた。
佳奈恵ちゃんや甲本さんも、続けて手を合わせる。
｢私はそんなことしない。｣
手を合わせる3人に向かって口を開いたのは結月ちゃんだ。
｢神様なんていない。いたらミンジュンが死ぬわけないもん。｣
そう言うと、結月ちゃんはこちらを振り返ることなく丘を降りていった。
｢結月ちゃんの言う通りかもしれない。神様がいたら、こんないい人が死ぬわけない。｣
結月ちゃんに同調するように、佳奈恵ちゃんもミンジュン君のお墓を見つめて呟いた。
結月ちゃんと佳奈恵ちゃんの言葉に、彼が死んだことを思い知らされる。
もう、彼はいない。
優しくて、いつも私の隣にいてくれた。
困っている時は助けてくれたし、嬉しい時は一緒に笑ってくれて、泣いている私を見つけると、抱き締めてくれる…
私の名前を呼んで微笑む彼の顔を思い出すと、胸が苦しくて張り裂けそうになる。
『…。』
｢Aちゃん…？｣
『…。』
｢Aちゃん大丈夫？｣
『え……？』
紹子さんに軽く肩を叩かれ、ハッとした。
｢皆中に入るけど、一緒に戻らない？｣
紹子さんが建物を指さしてそう言った。
『私…』
言葉に詰まった私を、紹子さんと佳奈恵ちゃんが心配そうに見つめている。
｢そっか…じゃあまた後で呼びにくるね。｣
何も言わない私に気を使ったのか、紹子さんはそう言うと佳奈恵ちゃんと2人で建物へと向かって行った。
『ミンジュン君…』
首を傾げて振り返る彼の姿はもうない。
『私も…そっちに行っていい…？』
彼がいたから、今まで頑張って来られた。
『私もう、なんのために生きたらいいのかわかんない…』
こんなにも彼に依存していたのかと、自嘲の笑みが零れた。
そのまま、崖に向かってゆっくりと歩みを進める。
『っ…』
彼の墓枝にカーディガンの裾が引っかかり、歩みが止まる。
『どうして…』
まるで彼に行くなと引き止められているようで、枯れていた涙が再び零れた。
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なすび丸(プロフ) - あぷるさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ないです！そう言っていただけると気負わずに更新できます…ありがとうございます！ (2021年5月23日 20時) (
レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - なすび丸さんお帰りなさい!!新しい生活への切り替えで多忙であるにも関わらず更新をして頂いて本当に嬉しいです！なすび丸さんのペースで更新なさってくださいいつでも待ってます (2021年5月16日 13時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - さらさん» おはようございます！！待ってていただいて本当にありがとうございます！！ちょこちょこ更新頑張ります！！ (2021年5月10日 7時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
さら - なすび丸さんお久しぶりです！！そしてお帰りなさい！！ずっと待ってました！！新生活の中お忙しいのに更新ありがとうございます！！これからもずっと応援してます！！コロナも流行ってるので、お体には気を付けて、お仕事も頑張って下さい！！私も頑張ります！！ (2021年5月9日 23時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
Nishiki - なすび丸さん!!お久しぶりです!!おめでとうございます!!幸せになってくださいね！ (2021年3月15日 1時) (レス) id: 43dc748b90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なすび丸 | 作成日時：2021年3月1日 19時
