story 3 ページ4
「A、散歩をしようか」
「...うん」
夜になると累は必ず私を散歩に連れていく。話をしながら早くここに慣れて欲しいのだという。優しく私の手を握る累は鬼だという感じがしない。でも森で人間に会った瞬間や、お義母さんたちが何か間違えた行動をしてしまうと一気に雰囲気が変わる。それはもちろん私に対しても
恐怖と言えば恐怖だ。累はいつでもどんな時でも簡単に私を殺すことが出来る。糸を使わなくとも、その手で簡単に首をへし折ってしまうだろう
「ずっと黙ってるけどどうしたの?」
「...ううん。なんでもない。ただ、累は優しいなあって思ってただけだよ」
「...僕が優しい?」
「うん。優しい」
優しいという言葉を言われ慣れていないからなのか、目を見開いて固まっている。目をぱちぱちさせる姿は鬼などという恐ろしい存在には見えず、可愛らしいと思ってしまう
「A」
「ん?」
「好きだよ」
今度は私がその言葉に目を見開く。彼は嫁だ嫁だと言い続けていた中、その言葉だけは言わなかった。ちゅ、と優しく唇に口付けをした彼は愛おしいという気持ちを込めた瞳で私を見つめ、何度も好きだと言い続ける
「やっと、好きだと言ってくれた」
「そうかい?」
「うん。私、累に拾われてよかった」
「僕もAがお嫁さんになってくれて嬉しいよ」
家族という概念に、存在に取り憑かれた累だからこそ私を殺さないのだろう。もし普通の鬼ならあの場で食べていたはずだ
私は初めて累の唇に自分からキスを落とした
こんな幸せが長くは続かないとは知らずに
「兄さん、あの子を酷い目に合わせて」
「いいぜぇ。あの身体は俺好みだ。ひひっ」
2196人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黛パフェ(プロフ) - 自分のことを愛して必要としてくれる累を最終的に選んだ、ということになります。もし累ではなく炭治郎と先に出会っていたら炭治郎を選んだと思います!というような感じです! (2021年10月27日 18時) (レス) id: 8c9d1a6f15 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - ありあさん» 作品を読んでくださり、ありがとうございます。私の中では、人間の自分を助けて必要としてくれた累に依存してしまっていて好きだと思い込んでいる時に炭治郎に一目惚れをしてしまった、という感じですね。炭治郎が夢主を好きだというのを夢主は知らない訳ですから (2021年10月27日 18時) (レス) id: 8c9d1a6f15 (このIDを非表示/違反報告)
ありあ - とても面白かったです。一つ疑問に思ったのが炭治郎に一目惚れしたのに地獄で累にあった時恋焦がれていたと書いてあります。ということは夢主は二人を同時に好きだったということですかね? (2021年9月20日 16時) (レス) id: afb0d23f81 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - あやりんさん» 見てくださってありがとうございます。地獄でもラブラブしてて欲しいです笑。本当にありがとうございました! (2020年7月24日 19時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
あやりん - 感動しちゃいましたーー!!(泣)地獄に、堕ちて、会うなんて。。。もう泣くしか無い!!! (2020年7月24日 17時) (レス) id: 5191a250c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パフェ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月14日 12時