人間のクズ。

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だがそれだけでは無かったのだ。

私には一つ上の従兄弟がいる。




彼はいわゆる天才という奴だった。

妬み僻みに聞こえるかもしれない。
あぁ、そうだ。何も否定しない。私は彼が憎く恨めしい。



天才ではなく努力の話だと言われるかもしれない。


だが違う。




彼はすごいのだ。





例えば彼がその才能を開花させたのは絵だ。
彼はどんな景色、物でも一度見れば描けてしまうのだ。


見ながら描くのではなく、遠くに景色を見に行ったならば3分見て家に帰ればその景色を描ける。




それはもはや常人の記憶力ではなかった。

そしてそれは勉強にも利用出来た。特に社会だ。


社会の歴史、年号などを一瞬にして暗記する。


だがバカと天才紙一重という言葉を読者の皆様は知っているだろうか？



彼はすごい才能の持ち主ではあったが空気が読めなかったのだ。それ故、嫌われることも多かった。









だか私はそれすらも妬み、羨ましいと感じた。


その性格すらも特別なもの。マイナスなことも素晴らしい事だと思ったのだ。




なんというか…、その境遇さえも特別なものだと思えたからだ。
平凡な私にとっては本当に羨ましかった。









私には8つ年の離れた兄もいる。兄も要領がよく、もともと頭の良い人間だった。

特別勉強をしなくても簡単に良い成績が取れる。そんな人だった。





それは私にはとても酷い現実だったのだ。





ある日、私は親に言われた。


「お兄ちゃんや従兄弟は天才だがお前は普通だ。あいつらは特別だ」



この時は声を殺して一人泣いていた。
気づいていた。自分が普通であるなど、知っていた。


この時、私の中の何かが壊れ、溜め込み、無視をしていた兄と従兄弟への嫉妬からの嫌悪が溢れ出したのだ。




妬みで人を嫌うなど、私はクズだと思う。

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