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もうそろそろ寝よう。
そう思っていた時に携帯から
着信を知らせる音楽が鳴った。
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誰だ、こんな時間に。
…こんな時間って言っても、
今日は早く上がれたからまだ22時だ。
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携帯の画面を見ると『神宮寺 A』と
いう文字が見えた。
思ってもみなかった名前で携帯を床に落としそうになる。
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平野「…もしもし、平野です」
恐る恐る電話に出る。
「あ、神宮寺です。こんな時間にすみません」
平野「大丈夫です。どうされました?」
「あのー…私、御社に手帳を忘れて行ってしまったみたいで」
平野「手帳!?それ大事なやつっすよね!?」
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手帳は社会人にとって書かせないアイテムだ。
毎日の予定が全部書いてある。
「そんな大したこと書いてないんで大丈夫なんですけど、
探しておいて頂けたりしますか?」
平野「あ、探しときますね。そちらに届けますか?」
「いやそれは申し訳なさすぎます!昼頃っていますか?取りに行きます」
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女の子は素直な方がカワイイ、
いつしか俺が言った言葉を彼女はもちろん覚えていない。
今の関係でこれを言うのはセクハラ紛いだしやめておく。
それとこれじゃ話が違うか。
平野「それって、昼休みに取りに来る感じですか?」
「そうです」
平野「…もし良かったら、手帳ついでに外で一緒にランチしません?」
俺なりの勇気だった。
彼女は「私、そちらの会社の周りのご飯屋さん全然知らないので嬉しいです!」と、了承してくれた。
今日の昼は気分が悪かったけど、
明日はAとランチができる。
今夜はいい夢が見られそう。
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作者名:ski | 作成日時:2020年3月26日 21時