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「え〜暇な日ないんですか?」
平野「ないっスね」
少なくともお前らに構ってる時間はねーよ。
と言う言葉はかろうじて飲み込む。
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「永瀬さんサッカー好きじゃなかったでしたっけ?」
永瀬「…まあ」
「これ、日本代表のチケットなんですけど一緒にどうですか?もし良ければ平野さんも」
片方の女の人が手に持っているのは
男子サッカーの日本代表の4枚のチケット。
4枚ってどうせ隣の女もついてくんだろ?ダブルデートじゃねえか。
本当に行って欲しいんだったら
廉にだけチケット渡せよ。
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サトウがあの日持っていた4枚のチケットと
境遇はほぼ同じだけど、こんなにイラつくのはなんでだ。
水族館のチケットじゃないから?
違う。
永瀬「ああ、そのチケットあるんでいいっす」
廉は淡々と答えると、コップの水を飲み干した。
永瀬「紫耀食べ終わった?」
平野「終わった、行こう」
席を立つと、「えー」という声が聞こえてきたけど
さすがにこれは無視。
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流し込むようにして食べたカレーは美味しくなかった。
カレーにも作ってくれた人にも申し訳ない。
噛まなすぎてしゃっくりが出そう。
午後はきっとしゃっくりが止まんなくて
部長に「食べ物くらいちゃんと噛め!」って怒られるんだろうな。
あー誰かさんたちのせいで憂鬱。
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Aがこの状況を知ったらどう思うだろう。
あの時と変わってないじゃん。
嫌な時はちゃんと嫌って言わなきゃダメだよ。
って言って、笑ってくれるだろうか。
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作者名:ski | 作成日時:2020年3月26日 21時