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週明けの月曜日の居酒屋。
俺はサトウにAと撮った写真を見せた。
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ミキ「確かにこれはAだね」
平野「だろ?どっからどう見てもAなんだよ」
永瀬「名前も見た目も年齢も性格もアイツなんやで?やのに記憶だけがちゃう」
そう。記憶だけがAじゃない。
それ以外は全部A。
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ミキ「それにしてもこの写真顔面偏差値高いね〜」
と言われスマホが返却された。
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ミキ「あ、それ私に送っといてね。Aの笑顔みて元気出すから」
平野「はは、りょーかい」
忘れないうちに写真を送ったとほぼ同時に、
サトウのスマホが鳴り始めた。
永瀬「電話?」
ミキ「うん、彼氏から。でもいいや」
平野「いいの?」
ミキ「Aの方が大事だし」
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ビールをぐびぐび飲むサトウを見て俺は思った。
彼氏、ぜってー尻に敷かれてる。
「ビール取ってきて〜」とか。それしか思い浮かばないけど。
…なんて思ってごめんなさい。見えない彼氏に謝る。
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永瀬「高校3年間女子校ってどういうことやねん!元カレにショウの名前が無いとかどういうことやねん!」
ミキ「は?高校3年間女子校?」
永瀬「あ。紫耀言ってなかったん?」
言ってませんよーだ。
文字で説明すんの下手くそなんだもん。
廉がポロッとこぼしたせいで
サトウに質問攻めにあって、
ある程度はAと会った時に分かったことを話した。
ミキ「…なんで、なんだろうね」
あの日ぶりに見たサトウの涙は切なかった。
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作者名:ski | 作成日時:2020年3月26日 21時