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陰キャだからお客様に自分から世間話仕掛ける経験があまりにも乏し過ぎて、自分が何言いたいのか、というか何言ってんのかわかんなくなってきた。
「…あんまり、無理しないでくださいね。あの…えっと、いつもお疲れ様です」
まとめ方わかんなさ過ぎのゴミ陰キャで死にたい。なんで私コミュニケーション能力上げる努力しなかったの?
これやっちゃったデショ〜〜…キショい女に変な認知のされ方して絶対この人ここに来るのイヤんなったやん…貴重な…とっても貴重なイケメンのお客様を失ってしまう…殺して…と思いながら軽く会釈したままだった頭を上げてお兄さんを見ると…
「…」
な、泣いてる…!?
お兄さんはなんと、瞬きしないで呆然としながら涙を流していた。
「す、すみませ…こんな、だから…そんな風に、こ、声掛けてもらったの…全然なくて…う、」
そう言って声を押し殺して男泣きしてしまったお兄さんに、「ホョ!?大丈夫ですか!?」と全然大丈夫じゃななさそうなのに聞いて、カウンターから飛び出してお兄さんの背中を摩った。アワアワしながら、イートインの座れる場所に誘導してお兄さんを座らせる。
こ、この人ホントマジで精神的にやばかったんじゃない?
オイオイオイオイオイ誰だよこんな顔面人間国宝を追い詰めたやつ。許せねえ…許せねえよ…とイケメンを追い詰めてきたありとあらゆる何かに殺意をメラつかせながら、お兄さんを宥め続けた。
不意に、パ、とお兄さんが顔を上げて私を見上げる。泣き腫らして目元と鼻が赤くなり、目が涙で潤んでいるお兄さんは実に色っぽくて、不謹慎ながら見惚れてた。
「…気持ち悪く、ないんですか。オレの顔」
眉毛を下げて瞳を潤ませたまま、お兄さんが急にそんなことを言う。しかしお兄さんのご尊顔に見惚れていた私は、スッカリここが美醜逆転の世界であることを忘れていた。故に、
「へ?なに、ど、どこがですか…?」
と首を傾げてまるっきし素の反応を返してしまったのだった。
オヤジ臭くてマジで申し訳ないけれど、泣いてるお兄さんの顔がホントに色っぽ過ぎてこの世界の前提知識とか全部ブッ飛んでいた。マジでどこが気持ち悪いの…?とスペースキャット顔していたし何なら寧ろ何でそんなことゆうの??何でイケメンのくせに自己肯定感そんな低いの??とすら思ってた。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時