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…少しして、ようやっと竜胆は口を開き、蘭と合流する前に起きたことを話し始めたのだった。



「そ、そんで、その子゛っ!肋骨折れてンのに、オレのピアズさがっ、探じてくれでえ゛」
「めっちゃ泣くじゃん…」
「手にぎって、オ゛レのこと、不細工じゃない、綺゛麗だってい゛ってぐれだのお゛」
「ちょ、泣きすぎてホント何言ってっからわかんなくなってる」

竜胆が年甲斐なくビイビイ泣いてるのは、アルコールも入っているからと言い訳しておく。蘭は横で開けたワインを飲みながら感無量で泣き散らかす弟を「フーン」と見た。


——でもそれって、ハニートラップとかじゃねえの?

こんなにも初心な男ではあるが、腐ってもあの梵天の幹部である。
見るに耐えない見目だから女に耐性がないだろう、と舐められたのか、別組織からハニトラ専門の美しい女を嗾けられたことがあった。しかし蘭も自覚しているように自分たち兄弟はそりゃあもう殿堂入りの不細工である。その道のプロでさえ「無理!」と降参しトンボ返りされるぐらいの。
この前なんか、マスク・サングラスせずに歩いていた自分たちの顔を見た奴が吐瀉物撒き散らしてたし、素顔見せて脅かしただけでPTSDを発症されてしまい、オレたちゃクトゥルフか何かかよ、と思ったものだ。

だからその女の存在は、自分達にとって余りにも都合が良すぎるのだ。蘭は、数十分話しただけの竜胆が陥落するほどの聖人が、この世界にいるとは思えなかった。だとするとやはり、偶然を装ったハニトラ要員か。

…仮にその竜胆と接触した奴が、よくよく訓練されたハニトラ専門の女だったとして相当厄介なことになるな、と蘭は酒を呷りながら考える。

梵天幹部は似たような奴ら…つまりは世間から爪弾きにされてきた醜男が勢揃いである。籠絡されてしまえば、組織はいとも簡単に瓦解していくのではないか。

そんなあらゆる可能性を考えながらふと、蘭は気づいた。

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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時

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