34 ページ38
下ろしてもらい、深呼吸する。
買い出しに行ってから結構時間経ってるし、遅いって怒られるかも。不安で心臓バクバクさせながら、薄くドアを開く。
「お、遅くなってすみま——」
「Aさん!大丈夫だったか!?」
「うぉ」
ちょっとしか開けてなかったドアがガバ!と開いた。そこから出てきたのは、とても焦ったような顔をした九井さんである。
「遅いから心配し…ってマイキー!?」
「コイツ、怪我してるから送ってきた」
「はっ?」
マイキーさんの言葉に九井さんは「何が何だか」という表情で私を見る。そして私がボロボロな状態であることに気づき目を見開いた。
「…!Aさんソレ、」
「多分、肋骨折れてるから。早退させて病院行かせてやれ」
「あば、おれッ!?」
「じゃ」
マイキーさんは端的にそれだけ伝えると、踵を返そうとする。しかし足を止めて私と目が合うと、するりと近寄り抱きしめて、私の頬に自分の頬を寄せる。猫が甘える時のように。それにビシッと固まった私。少ししてマイキーさんは私から離れると、目を合わせて
「またな。…A」
と少し微笑みんで、去って行ったのだった。
ハワワ、となりつつそれをぼけらと見送っていると、九井さんが額を抑えて盛大な溜息を吐く。
「…マイキーに、気に入られたな……ハ〜…もーお前ってやつは…」
「?…??」
「とりあえず、何があったか教えてくれるか」
「あ、は、はい…」
オフィス内のソファーに行き、座るように促されて対面になって座る。
九井さんはやっぱり険しい顔をしていた。
「で、何があった?」
「…しゃ、社員の人と、言い合いになって…蹴っ飛ばされました」
「…何で言い合いになった?」
「…」
九井さんにそう問われて、言葉に詰まる。九井さんが悪く言われてたってことを、本人の前で言いたくなんてなかった。
しかし「Aさん」と、静かだけど強い口調で名前を呼ばれてしまって、説明するしかなくなってしまった。
117人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時