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流石に相手がデブでも、成人男性の力で蹴っ飛ばされてはなす術もなく。

私はオフィスのツルツルの床も相まって転んだ時の体勢で少し滑って、気がつけばエレベーターから離れた位置に。
慌ててエレベーターに乗り込もうと立ち上がろうとしたら、脇腹にひどい痛みが走った。思わずウッと呻く。

すると私の耳に「ザマァみろ!」と爆笑する男の声が聞こえた。あ、と思って顔を上げた時にはもう遅く、エレベーターの扉は無情にも閉まってしまったのだった。

呆然とその場に取り残される私。

降りた、というか降ろされたフロアには、幸い誰もいなかった。
痛む脇腹を抑えながら、ヨロヨロと立ち上がる。よりにもよってスカートの日だったから、脚が床と擦れた時に履いてた黒パンストに穴空いちゃってメッチャ目立つわ、擦り傷できて血が滲むわで酷い有様になっていた。しかも転び方が変だったのか、会社用に買った新品のパンプスのヒールストラップとヒール部分がぶっ壊れてる。これじゃ靴を履いて歩けない。足も挫いたのか痛いし。
取り敢えず行儀は悪いが、靴を脱いで手に持って歩き始めた。

エレベーターにもう一度乗ろうかと思ったが、またあんな輩と鉢合わせたりするのもやだし、こんな有様だから他の社員から奇異な視線を浴びることは避けられないだろう。

…階段、使うか。

ここは20階だから6階まで登んなくちゃいけないのはキツイけど、今は誰かに会いたくなかった。

買ってきたインスタントコーヒーの容器がプラスチックでよかった。衝撃で割れずに済んだし。少しホッとしながら、エレベーター脇にある階段へと向かった。

しかしまあ脇腹が痛い。ハア、とため息をつきながら、薄暗い階段をトボトボ登り始める。

途中まで無心で登ってたが、1階、2階…と進んでいくうちに、自分の中身がじわじわと嫌な気持ちに浸食されていくのを感じた。

23階につながる階段は、やはり上層部とその関係者以外立ち入り禁止ともあり、今までの階段とは違って鉄製の扉と壁で仕切られている。

その横には、チップを読み取る機器。社員証を取り出してかざすと、ピ、という機械音と鍵の開錠音が木霊した。

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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時

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