【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件

17 ページ21

それから暫く。
私は…九井さんの勤めている会社「ブラフマーグループ」のビルに訪れていた。

あの後三日三晩悩んだ末、震えながら九井さんに電話をし、まずはと今日の社内説明会(と言っても私しかいない)を受ける約束を取り付けたのだ。

驚くべきは、九井さんが会社の上層部の人だったということ。まあ薄々察してはいたけれど、実感するとヤバい。

会社自体、立ち上げてからまだ10年も経っていないそうだが、それでも会社はかなり巨大な企業となっている。確かにネットで流れてきた不動産や建設系とか広告に名前が出てるの見たことあるな。結構色んなところ名前を見るし、正しく色んなことに手を出してるみたいだから、確かに不動産なのかコンサル系なのか言い方に迷うよなあ。

九井さんはそんな会社の総務経理諸々担当しており、役職は常務。若いのにすげえや。でも一人にさせる仕事の量ちゃうやろ。マア、会社が大きい分、機密情報も多いからおいそれと社内の人間に仕事を回すわけにはいかないんだと。社会に出たことのない社会新生児の私は「ほへー」という感想しか思い浮かばない。バカだから。

あ、もし働くとしたら、九井さんの推薦で来たということで九井さん直属の部下になるそう。秘書的なやつらしい。資格とか持ってないけど大丈夫なのだろうか。

ある程度説明を受けつつ、会社の中を九井さんと見て回る。ビルは30階建てで勤務しているであろう人の数も多い。都会の企業って感じの、真新しくて綺麗なオフィスだ。

ちなみに九井さんはサングラスにマスクの不審者状態になっているが、それもこれも世界が悪い(強火)

よく見ると圧倒的に上層部である九井さんが通るたび、何故かすれ違う人がなんか微妙な顔をする。何やこいつら、と思いつつエレベーターに乗って、九井さんが仕事をしている専用スペースへ。26階がそうらしい。高え。

すっっっっごい眺めがいいのはわかっているのだが、実は私高所恐怖症でして。ギュンギュン上がる高度にもう冷や汗かきまくりだ。



■

ブラフマー＝梵天を英語にしたもの
梵天は表社会用の会社も運営してると思ってる

18→←16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す