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「九井さん、こんばんは」
「ああ、こんばんは…というか眼鏡…」
「あ、私バイトの時以外は眼鏡外してるんですよ〜」
「そ、うだったのか…一瞬誰かと思った。…あれ?」
九井さんは一瞬考え込みキョトンとした顔で私を見る。多分私がいつも夜勤でいる曜日だったから、バイトの時以外と言ったこと、私服で出てきたのが不思議だったのだろう。案の定、九井さんは「あれ、今日…」と言ったので私はヘラっと笑った。
「あ、実は今日夕勤で。今日はもう上がりなんです」
「?夕勤にしては終わりが随分遅いみたいだが…」
「あー、それが残業で。気がついたらこんな時間に」
へへ、と笑う私と対照的に、九井さんは険しい顔をしている。「こんな時間に一人で帰んの?流石に危ねえよ」と。いつもよりも幾分か崩れた喋り方に動揺と焦りのようなものが感じ取れた。九井さん、前の一件以来私に対して結構過保護になったんだよね。
「…送っていく」
「え?!や、大丈夫ですよ!私ん家、歩いて5分くらいで着きますし!それに九井さん、お買い物に来たばっかりじゃないですか、悪いですよ」
「オレは全然平気…って、あいや…オレに家知られるかも知れないしな…悪い、それは流石に気持ち悪いし嫌だよな。悪い…」
「え、え、いやそういう意味ではなく!わ、私のせいで、そこまでしてもらうの、申し訳なくて」
「……ホントに、嫌じゃない?」
グウウウウウウアアアアアアアアア!?!?!?!?!?!?!?!?!?カカカカカカカワイイ!?!?!?!?!?!?!?!?
子犬みたいな目で瞳を揺らして眉を下げる九井さんに心臓鷲掴みにされた私は、頽れて呻きそうな体を何とか抑えて、「カワイッあいや全然ヤじゃなかですワ!!」と全く取り繕えてない感じで返事をした。
九井さんは私のトンチンカンな返事に一瞬ポカンとすると、それからフハ、と安心したように笑った。目の下にできた小さなシワがセクシー。セクシー&キュートが過剰供給。ハ〜〜〜カッコヨイ。でも幸福感って過剰に供給されるとしんどいんだな。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時