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チラッと見えた九井さんの顔は『無』。美人の表情が抜け落ちた顔、めっちゃ怖い。

ヒェッ、と思った時にはもう遅く、九井さんは出ていく寸前の豚の肩を、一見気安く見える感じでガッと組んで、耳元で何事か言う。
豚がびくっと肩を揺らしてワッと何かを言おうとしたが、九井さんの顔を見てさっきまで自信満々だった顔を惨めなくらい引き攣らせた。

私からは九井さんの背中しか見えないから顔は見えないけど、相当恐ろしい顔をしてたか何か言われたか…。

九井さんはフッと私の方を振り返ると「悪い、すぐ戻ってくるからレジにカゴ置いてもらっていいか」と笑った。

安心させようとするのか優しい笑顔だったのだが、絵面とチグハグすぎて、私は「エ?アハイ!」と意味のわからない返事をして、九井さん達を見送ることしかできなかった。

…。

…。

5分くらい経っただろうか。
色々心配でソワソワしながら待っていると、軽快な入店音が。九井さんは一人で颯爽と帰ってきた。見たところ怪我とかはしていないみたいだが。

「こ、九井さん!だ、大丈夫でしたか…?」
「大丈夫だ。ちょっと話してきただけだから。…悪いな、怖かっただろ。迷惑行為にも限度はあるし、さっきの発言はいただけないから、今までの行為とも合わせて示談金も取ろうと思えば取れるんだが」
「ジ、ジダンキン…」
「どうする?」
「い、いや、いいです…あの人が来なくなるならそれで…」
「そうか。わかった」

爽やかに笑う九井さん。
ウーン。手慣れている。もしかして九井さんって…ちょっとコワイ人?いやまさかな…。
…。
…。
まあでも九井さんが実はコワイ人だとしても、私の唯一の癒しであるイケメンであることには変わりないし。まあいっか〜!

そうして私は色々考えるのをやめた。




店員のAさん
大学4年就活女子。田舎から上京してきたので実は訛っている。前世はそこまで面食いというわけではなかったが、美醜反転世界のせいで飢えが極限まで来てしまった。九井さんがここ最近の癒し。細かいことは気にしないけど自分の好きなことに関しては細かくなる。厄介オタク。

九井さん
しっかりコワイ人である。疲れてエナドリやコーヒーを求めて訪れた深夜のコンビニで自分の顔に全く不快感を表さない優しい店員に出会った。通ってるうちに心を開いていく野良猫のような男。今までが今までなので、優しさに弱い。
自分はまだしもAさんをブスと言ったのは許せなかった。あの後豚は丁重に処分された。

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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時

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