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「いらっしゃいませ…あっ、こんばんは九井さん!」
「こんばんはAさん。…最近よく見かけるけど、働きすぎじゃないか?」
「へへ、学生は色々金がかかって」
「あーなるほどな。でも、あまり無理はするなよ」
「はい、ありがとうございます!あ、九井さんもあんま無理しちゃダメですからね」
「はは、ウン。ありがとな」
あの日以来、ロン毛銀髪お兄さん…九井さんとは仲良く喋るようになった。あの時恥を忍んで自分の性癖晒したおかげか、前よりもずっと心を砕いてくるようになり目も合わせてタメ語で話してくれるし、笑ってくれる。そう、笑ってくれる。イケメンが。私と会話して。こんな嬉しいことある?こんなの自然にニッコニコになっちゃうでしょ。
金のためにバイトしてるとは言ったけど、ここ最近はもう九井さんという癒しを浴びるために夜勤帯入りまくってるレベルなんだよね。
ただ、ちょっと困ることも一つ。
ここ最近、九井さんの他に深夜に訪れるようになったお客様のことだ。
恐らく歳の頃は大学生だろうか。その人は世に言うイケメン()に分類される人なのだが、なまじ人からチヤホヤされてきたのか、自分がイケメン()であることを自覚してるし異様に馴れ馴れしくて自信過剰なのだ。お釣りもらう時さりげなく私の手握ってくるし、連絡先聞いてくるし(勿論教えてない。LI●Eしてないって言ってる)、店舗内に誰もいないと「え!二人っきりとかドキドキすんね…笑」とか言ってくる。生理的に受け付けない顔で。ちなみにソイツは10回くらい殴られたオークみたいな顔してる。あと香水の匂いがキツイ。
来るたび見るたび、フライヤーを掴むトングでそいつの目を潰したい衝動に駆られるが、お縄にかかるのはイヤなので何とか妄想の中だけでとどめているのがここ最近のことだ。
友達相談してもどうせ容姿説明したら「えイケメンにアタックされてるってコトじゃん!?」「オイ自慢やめろ」とか言われて、私のこの不快な気持ちを理解してくれないと思うからしてない。地味にコレがストレスなんだよな。発散場所がないってキツイ。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時