斬れた ページ50
光を呑むような黒い刃が、寸分のズレも迷いなく、無防備な私の首へ突き刺さる。
「がっ…!?あ……が…!」
___刀を握ったこともない非力な私の力でも、不思議と自分の首が斬れた。
神経を焼くような地獄のような激痛の後、視界が斜めに落ちていった。
驚いた顔をした2人が私へ駆け寄って「どうして」と口を動かすのを見ながら私の意識は暗闇に墜ち____
ふと、誰かの声が脳裏に蘇る。
___いつか桜子さんが道に迷って、困った時は、頼ってくださいね
いつ聞いたのか、どこで聞いたのか……分からないけど、多分カナエさんの言葉だ。
その言葉の通り、夢の中で私を導いてくれたんだ………煉獄さんの為だけに。
……ありがとう、お礼は蝶屋敷で、めいいっぱいしのぶさんに言うから。
だから_____
「______血鬼術ッ!!」
次に目が覚めた瞬間、私は意識がハッキリするや否や、すぐにその言葉を叫んだ。
飛び起きたそこは、辺り一面が平原で………目の前には林と、脱線した列車と、そして、
私の大声に、驚いて振り向いた血塗れの煉獄さんと、飄々とした様子の猗窩座。
2人の目は見開かれて、どちらも「信じられない」という顔をしていた。
それを無視して、私は脇芽も振らず続けて声を重ねて、
「____“紅蓮華刃”ッ!!」
……その名前は、咄嗟に考えたものだけど。
次の瞬間、突き出した血に塗れた腕から赤黒い刃が飛び出すことを分かっていた私は、その名前が丁度良いと思った。
夢の中で……私が腰に差していた刀。きっと元々使っていたハズのものだ。
柄から切っ先まで赤黒く染まったその血でできた刀は、真っ直ぐに猗窩座の元まで飛んで行き、
ガギィィン!と大きな音を立てて、振り上げた拳に玉砕される。
流石に1発じゃ倒れないか、でもそれなら、
「紅蓮華、刃ッ」
弾かれるより前に、弾かれると予想して叫んだ途端、第2陣3陣が猗窩座に向かって放たれた。
その黒刀の数は、目視するだけでも猗窩座の周囲360度を何十、何百近くと現れて___
「___何故お前が血鬼術をッ……桜子ーーーーッ!!!!」
___雄叫びのような怨嗟の声を上げた猗窩座の体へ、轟音と土煙を上げて突き刺さった。
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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時