鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

その警告 ページ49

ん…？行くって、どこへ？もしかして任務のこと…？


いやそれは困る、多分私使い物にならないな……きっとそうだ呼吸とか使えないし。


鬼柱ってことは鬼の呼吸なんだろうけど、鬼の呼吸って何だ。


内心冷や汗を掻きながらも、行くしかないと１歩踏み出す私に、ふと宇髄さんが１言。


「大丈夫だって。お前が戦えなくても、俺達が守るから」

「うむ！その通りだ、安心して踏み出すといい！」


2人ともどこかドヤ顔、けれど堂々と凛とした態度で言うものだから、私は思わず唖然とした。


そんなこと言う人だっけ…？いや、言うかな……可愛がってくれてたら言いそう。


私ってそんな好感度高かったんだなぁ…と思いながらも、「なにそれ」と思わず吹き出す。




「桜子さん」




その瞬間、ふと後ろから私を呼ぶ声がした。どこかで聞いたことのあるような、女性の……


「目を覚ましてください、桜子さん……どうか思い出して」

「………え。カナエ…さん…？」


振り向くとそこには、いつの間にかカナエさんが立っていた。


驚いてその顔をガン見する私を、彼女は心なしか、少し悲しげな顔で見つめている。


あれ……その羽織、さっきまでしのぶさんが………それってもう、カナエさんが死んだ後ってことだったんじゃ……？


それに、目を覚ましてとか、思い出してとか……一体何のことを言ってるんだ…？




「___桜子、突然どうしたんだ！早く行こう、皆が待っているぞ！」




「…杏寿郎……」


何でだろう……煉獄さんより、杏寿郎と呼んだ方がしっくりくる気がする。


掛けられた声に振り向くと、堂々とした佇まいの煉獄さんが真っ直ぐに私を見つめていた。


「桜子さん、駄目、思い出して。煉獄さんが……殺されてしまうわ」

「皆で仲良くしてゆこう！これからも、誰もが望んでいる様に！」


背後から聞こえた気になる声を、掻き消すように、煉獄さんが声を大にして重ねる。


皆で仲良く………柱全員？いや、お館様も含めてか…？それは煉獄さん達の思ってることなんだろうか……



「いや、待てよ……今なんて？」


___煉獄さんが死ぬ？


___上弦の参に殺される。




ふと引っ掛かった違和感が、一瞬にして広がって私に全てを思い出させた。


記憶の殻を破るように、無限列車も下弦の壱のことも、その後の展開と結末も全て思い出して、私は、




「___だめ…だめだめこんなの…！煉獄さんは死なせない…！」




一瞬の躊躇いの後、腰の刀を抜き放ち、自分の首へ思い切り振り向けた。

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