検索窓
今日:18 hit、昨日:18 hit、合計:478,510 hit

せめて弔いを ページ5

____と、喚く善逸を落ち着かせて追い返し、


「多分善逸が何て言っても殺されるだろうなぁ…」と思いながら大人しく待つこと____




「……結構経ったけど、誰も来る気配がない」




よく考えれば、鬼が来ないだけマシ……というか本当に何も出来ないから来ないで欲しいんだけど。


というか、その心配もそうだけど……


「血塗れの、無残な死体だらけ…」


流石に目の前が辺り一面死体だらけだと、心が落ち着かない……


というか、正直かなり不安だし怖い。


それに、この人達も可愛そうだし、このまま曝けるのは忍びないというか。


「せめて、安らかにさせてあげよう」


そうと決めて、うんと頷くと、私はゆっくりと動き出した。




まず、木の下に倒れていた人を、拓けた中央へ運ぶ。


……といっても大人の男性、しかも既に意識が無いせいで、凄い重い。


「う……それに、なんか………」


……………私が、変だ。


密着して生々しい臭いが強くなったからか、妙な感じがする。


酩酊、のような……?死体に惹かれる、ような………


「お、鬼だからか…ッ…………血肉に惹かれるなんて、最悪!」


ようやく自分の鬼としての飢餓感を理解して、嫌悪と牽制に意識が引かれる。


いやいや、食べない食べない…人の肉とか、生理的に無理。


___という私の意志とは反対に、心臓はバクバクと煩いし、「食べなければ」という意識すら生まれてくる。




「でも、食べないったら食べないからな」




何でも無惨の思うままにしてやるものか。


あいつ、少し顔が良いと思ったら……いきなり人の腹ぶっ刺しやがって…!?


一発殴るまで死ねない。いや、意地でも生きる。


ズルズル、ズザザザ……と静かな森に音を響かせながら、何人目かの死体を引き摺った。


………1、2、3、4、5、6人か。


これ、万が一お腹が空いたら堪ったもんじゃないな。大惨事だ。


できるだけ最小限の動きで……かつ意識しないでやらないと…!




「木の上は…届かない」


ボソッとそう呟いて、血の滴る無残な光景からそっと目を逸らして、中央へ戻る。


「ごめんね…」


冷え始めてきた人達の顔を覗き込んで、苦しみや恐怖に歪んだ表情を安らかに整えて、


そっと両手を胸の上で組ませてから、私は短く黙祷をした。


多分私の知らない人だけど、それでも弔うだけでもしてあげないと、天国に行けないかもしれない。




___そうしてまたジッとしたままでいると、ついに森の奥から人が現れ始めた。

お連れ様はどなた→←気まずいの二乗



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (457 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1124人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , トリップ ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。