せめて弔いを ページ5
____と、喚く善逸を落ち着かせて追い返し、
「多分善逸が何て言っても殺されるだろうなぁ…」と思いながら大人しく待つこと____
「……結構経ったけど、誰も来る気配がない」
よく考えれば、鬼が来ないだけマシ……というか本当に何も出来ないから来ないで欲しいんだけど。
というか、その心配もそうだけど……
「血塗れの、無残な死体だらけ…」
流石に目の前が辺り一面死体だらけだと、心が落ち着かない……
というか、正直かなり不安だし怖い。
それに、この人達も可愛そうだし、このまま曝けるのは忍びないというか。
「せめて、安らかにさせてあげよう」
そうと決めて、うんと頷くと、私はゆっくりと動き出した。
まず、木の下に倒れていた人を、拓けた中央へ運ぶ。
……といっても大人の男性、しかも既に意識が無いせいで、凄い重い。
「う……それに、なんか………」
……………私が、変だ。
密着して生々しい臭いが強くなったからか、妙な感じがする。
酩酊、のような……?死体に惹かれる、ような………
「お、鬼だからか…ッ…………血肉に惹かれるなんて、最悪!」
ようやく自分の鬼としての飢餓感を理解して、嫌悪と牽制に意識が引かれる。
いやいや、食べない食べない…人の肉とか、生理的に無理。
___という私の意志とは反対に、心臓はバクバクと煩いし、「食べなければ」という意識すら生まれてくる。
「でも、食べないったら食べないからな」
何でも無惨の思うままにしてやるものか。
あいつ、少し顔が良いと思ったら……いきなり人の腹ぶっ刺しやがって…!?
一発殴るまで死ねない。いや、意地でも生きる。
ズルズル、ズザザザ……と静かな森に音を響かせながら、何人目かの死体を引き摺った。
………1、2、3、4、5、6人か。
これ、万が一お腹が空いたら堪ったもんじゃないな。大惨事だ。
できるだけ最小限の動きで……かつ意識しないでやらないと…!
「木の上は…届かない」
ボソッとそう呟いて、血の滴る無残な光景からそっと目を逸らして、中央へ戻る。
「ごめんね…」
冷え始めてきた人達の顔を覗き込んで、苦しみや恐怖に歪んだ表情を安らかに整えて、
そっと両手を胸の上で組ませてから、私は短く黙祷をした。
多分私の知らない人だけど、それでも弔うだけでもしてあげないと、天国に行けないかもしれない。
___そうしてまたジッとしたままでいると、ついに森の奥から人が現れ始めた。
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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時