鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

やってはいけない ページ23

突然だが……やってはいけないこと、というものがどの世界にも存在する。


例えば、




「鬼ごっこしようよ、この面子で。鬼の私が鬼で、30秒数えるから、5人は逃げてね」




この台詞。お昼ご飯を食べ終わった後、私がその場にいた人達に言ったものだ。


どうやら……私の一件で全員が暇を貰っていたらしく、この後やることがないならせっかくだから、と提案した。


もちろん、こんな場所(産屋敷本邸)でこの面子(柱3名他主要キャラ2名)で、出来るハズないとは思っていたのだが………




「いいですね！仲を深めることも出来そうですし！」


まず拒否することを知らない約1名。


「えっ…で、でも桜子さんがやりたいと言うなら…！」


そもそも拒否することが出来ないらしい約1名。


「えっ？鬼ごっこ…？お、お館様のお屋敷で大勢で………………素敵！」

「…いいんじゃない？どうせなら、罰ゲームを付けようよ」

「あぁ、それは面白そうですね……捕まったら誰か柱1人に告白、等はどうでしょうか」


予想外にも意外にも予想以上に乗り気だった約3名。





「は？」「馬鹿なの？」と言われて終わると思っていた、半分以上が冗談と好奇心だった提案が通り、


真の鬼と書いてしのぶさんと読む方が、


「じゃあ鬼の方が負けたらそっちが告白ということにしましょう」


と信じられないことをとびきりの笑顔で言ったことで、私も本気にならざるを得なくなった。


しかも、私に有利なように始まりは夜まで待つことになって…………現在、夜。




日本屋敷で鬼ごっこするのって小さい頃の夢だったんだよなぁ……と思っていた昼の私を全力で批難したい。


やってはいけないこと、って本当にあるんだ。私、学んだよ。


「___……28、29、30」


ルール通りに数えてから、死にそうな足取りで屋敷の縁側を歩き出した。


「……えぇ、人気がないんだけど………絶対誰もいないじゃん…」


とりあえず近くの部屋から開けて探してみるか、と、手前にあった襖をスッと開け、




「えっ！？あっ」

「えっ……あ…」




今まさに押入れに隠れようとしたのか、四つん這いになっていた恋柱…甘露寺さんを目撃してしまった。

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