鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

鬼になる前 ページ21

………………いや、何私普通に柱と隊士とご飯食べてるの。


味覚のない白米を頬張りながら、ふと賢者タイムなるものに突入し、ぼんやりと思う。


「えーと、誰さん？」


隣に座って可愛らしくご飯を食べている、可愛らしいしのぶさんにそう聞く。


いやほら……柱の方は名前知らない…というつもりだから、聞いておかないとね…？


うっかり名前を呼んじゃって、「どういうことだ」なんて刀向けられでもしたら、(心が)耐えられない。


振り向かれて聞かれたしのぶさんは、「え？」という顔で私を見たが、やがてふふ…と微笑んだ。


「私の名前は胡蝶しのぶですよ」


ぐあぁぁぁあ声が可愛い…！この人の声優誰だ？アニメで見たかったぞ、それだけ悔いなんだけど。


「じゃあそっちの2色髪のは…」

「！？に、2色髪…！？そんなっ…私のコト！？」

「えっ…そ、そうだけど、間違ってないでしょ…？」


次に甘露寺さんの名前を聞こうとして、物凄いショックを受けられたような反応を見せられた。


いや何だよ2色髪って。酷すぎる、誰だそんなこと言ったの…色黒さんに消されるわ。


「あれ？何だっけ、なんか……か、かん………み、み……り…？」


ピンクと黄緑の髪を見ていると、ふと頭の中に下の名前が浮かびそうになるが、出てこない。


“み”と“り”が入ってる名前だった気がするんだけど…………何か、甘い感じの名前。


蜂蜜じゃなくて、そうだ、




___蜜璃？良いね、可愛い名前だね…外見も可愛いね。




「あぁ、蜜璃か…」




思い出してスッキリした。それにしてもピッタリな名前……


「えっ」

「え？」


ほぼ同時に目を点にして、私と甘露寺さんが向き合って見つめ合う。


………完全、やらかしちまった。


「……どっかで自己紹介した？いや、初対面だよね…どこかで聞いたのかな」


すっと右側から視線を向けてくる柱3人から目を逸らし、私は左側の天使に目を向ける。


「君は……善逸？」

「えっ！？あ…はい、善逸です…」

「善逸って呼んでた？」

「？……あっ、はい！善逸って呼んでました！」


……善逸は善逸だったのか。彼の知る私は、一体誰なんだろう？




「私が…鬼になる前の知り合いかぁ」




生憎、無惨にぶっ刺される所からしかこの世界の記憶が無いんだけどね。


もしかしたら…というか、確実に…………


多分、もっと前から“私はこの世界にいた”んだ。


それで、善逸の知り合いだったということは確実に鬼じゃなくて人間だったな……私2度無惨にやられたのか。

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