鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

服があるんじゃ ページ16

「あ……そういえばこの服、病衣だった」


ぐるりと部屋を見回した後、ふと思い出したことに下を向いて、自分の体を見下ろす。


……ん？よく考えれば、これで裁判になってた私は初お披露目が病衣ということになる。


なるっていうか、なった。なんてことだ……


せっかくドヤ顔かまして「殺せばいい」と啖呵切ったというのに、服がダサすぎるなんて…！！！


セリフは良かったのに悔しいなぁ、と半ばズレている感想を抱いて…………ふと、


「……………」


壁際に見つけたタンスを見て、服があるんじゃないかと思い当たった。


「……いや、長年使ってないなら服も終わってるよね」


それ以前に「自由にして下さい」と言われたとはいえ、勝手に拝借していいのか…？


あぁでも、これから外に行く時ずっとこの服というのは流石に……


いや、ちょっと無理だ。


それに服を渡されなかったんだから、きっと着てもいいんだよね……？


自分の部屋になったハズなのに、どこか他人の部屋の物を漁るようなこの背徳感は………


「……ん？そうじゃん。私の部屋なんだから、気にすることないよね」


服を着ることに後ろめたさはあっても、取る分には問題ない。


どんな服があるんだろう……部屋の様子的に、子どもではないとは思うけど。


男物でも女物でも、サイズが合えばいいな……………と、




「……………………」


そこに至るまでの思考は割愛して、“服がたくさんあった”。




3、4着…という数ではない。タンスの中にはぎっしりと上から掛けられた服があった。


多分余裕で15着は超えてるし、和も洋も方向性もバラバラな服がある。


特に選ばず手近な服を手に取ってみると、洋装のような和装のようなよく分からない服が出てきた。


上は白色の小袖で、袖が現代でもあまり見ないくらい綺麗な月や星空で装飾されている。


下は青色のプリーツスカートのようなもので、膝下くらいまである。


中にある紐のような物を引っ張り出してみると、黒い帯だった。


「なにこれ凄い可愛い」

「そう？良かったね」

「うん……うん？」


自分じゃない別に声に、ピシリと固まる私。


今の誰？何か喋ったよね、私の間に。良かったねって。


「やぁ。そろそろ昼食の時間なんだけど、食べる？」

「…！？！」


その時の私の衝撃が、分かると思う。


1人だと思って呟いたら人がいて、しかもそれが男で、ついには柱だった。


心臓が飛び出るくらい驚いて……多分あまり表情の動かない私が目を見開くくらいはしていた、


その顔を……じっと見つめてる少年。

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