油断 ページ37
*
「応援してます！」
「ありがとうございます！」
「頑張ってください！写真撮ってもらっていいですか？」
「あ、はい、キムチー♪」
店の中の特設ブースに設けられた会議室なんかでよく見かけるテーブルを挟んで
ファンの子が持ってきたCDや雑誌、ノートにサインしていく。
握手をして、一緒に2ショット写真を撮ったり
ハグして欲しいなんていうお願いもあったりして。
あたしはその一人一人の顔を胸に刻むように、ゆっくり応えていく。
「日本から来ました！」
「え！？ホントに？」
久しぶりに喋る日本語に懐かしさが込み上げる。
「はい！デビューしてからずっとファンだったんです！
ハニみたいな歌手になりたくて、今スクールにも通ってて…」
「わあー、すごい！頑張ってね！！」
可愛い子だった。
あたしがﾄﾞﾝﾍオッパに憧れて歌手を夢見たように、このコはあたしを見て
歌手を夢見てくれたのかな？
そう思ったら胸が熱くなって、いつまでもその子と話をしていたいって思って。
そんな風に、浮ついた気持ちが油断を招いたのかもしれない。
サイン会が始まる前にひとつだけ注意されていたこと。
もしかしたら、ﾋﾁｮﾙオッパの熱狂的なファンが紛れてて、
危害を加えられる可能性もあるから十分注意するようにと。
そうでなくても、ファンの中にはゆがんだ愛情を持っている人もいる。
「お前なんか…」
「え…？」
振り絞るような低い声に驚いて、ふとふり向いたら。
俯き加減の一人の女性が、あたしを睨んだ次の瞬間。
キラリと光る鋭いモノが振り上げられた。
その剣先は、間違いなくまっすぐに顔に向かって尖ってた。
頭の中の警報がけたたましい音を立てた。
「ハニ！！！！」
マネオンニの声に弾かれるように一歩後ろに下がって腕を顔の前に出した。
「お前なんかﾋﾁｮﾙオッパにふさわしくない！！」
覚悟はあった。
頭の中で、もしかしたらっていう思いも、無いことはなかった。
とっさの行動は心得てるつもりだった。
それでもその女が持ってるモノがあたしの腕を掠めて、チクリと痛みが走る。
「キャーーーーーー！」
あちこちから上がる悲鳴。
騒然となる店内。
すーっと、意識が遠のいていく。
オッパ…
遠くなる意識の向こうにﾄﾞﾝﾍオッパの心配そうな顔が浮かんで
何か言おうとして口が開いた時
そこで、意識が飛んだ。
*
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さくらこ(プロフ) - まあさん» まあさん、初コメありがとうございます！絶妙だなんて(///△///） 自分ではもう、ない知恵振り絞ってる感じなんですが^^;2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね！ (2013年10月23日 17時) (
レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ごんごんさん» ごんごんさん、コメントありがとうございます！そうなんですよね。ぶつければいいと思うんだけど…なかなか、うまくいくか…って感じです。2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね！ (2013年10月23日 17時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。いつも絶妙な展開で楽しませて頂いてます(*^^*)これからのドンへの展開楽しみです(*^^*)さくらこさんのセンス大好きです!!! (2013年10月23日 0時) (レス) id: 9c0e6bd832 (このIDを非表示/違反報告)
ごんごん(プロフ) - ドンへさん自分の気持ちに気づいたならその気持ちをぶつけちゃって… いつも楽しみにしています^_^ これからの展開がとても気になります>_< (2013年10月23日 0時) (レス) id: 3fe715c8fc (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ミイさん» ミイちゃん、いつもコメントありがとう〜ドンへ、そろそろ気づかなきゃダメよね^^;ﾋﾁｮﾙも絡んで複雑…です^^; (2013年10月16日 23時) (レス) id: a388da78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi＊ku
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2013年10月3日 4時
