心の中〜DH〜 ページ33
*
ひと気のない事務所の倉庫。
所属事務所のアーティストの衣装や小物がすべて集められている部屋にユリはいた。
「ユリ…」
「ドンヘ、どうしたの?」
「いや、その…」
「さっきのこと、気にしてるの?」
やっぱりユリには敵わないな。
「なんでもお見通しなんだな」
そう言ったら、ユリは寂しそうに微笑んだ。
「そう思う?」
「ああ…」
「んー、少しだけ、ドンヘより長く生きてるから?
ううん、ドンヘがわかりやす過ぎるからかな。表情見てたら大体わかるよ」
「なんだよそれ(笑)」
「ふふ。でもね。わからないことがひとつだけあるの」
「なに?」
「………ドンヘの…心…」
「え…?」
急にまっすぐ立って。
今日の俺の衣装をそっと手のひらで撫でながらユリが俺を見る。
「ドンヘの心の中に、私はいる?」
「なに言って…」
「私ね。フランスから誘われてるの」
「…ヒョクから聞いた。俺、全然気付かなくて…」
「ドンヘはどう思う?」
「え?」
「フランス。行った方がいいと思う?それとも…」
「でも!デザイナーはユリの夢だったんだろ?だったら…」
「ドンヘは!私がいなくなっても平気?」
「え………?」
「ねえ。平気…?」
そう言ったユリの瞳から、大粒の涙がポロリと溢れて…
俺は何も答えられなかった。
平気かと聞かれて。どう答えていいのか、自分がどう答えたいのか。
わからなかった。
俺は今まで、ユリをどう思ってきた?
確かに好きだと思ってた。大切だとも思ってきた。
だけど…
「よく、わからないんだ……」
「そう…でもドンヘ…
もし、ドンヘが行くなって言ってくれたら私、やめてもいいと思ってるの」
「ユリ…」
「返事はまだしてないの。だから…ドンヘも私とのこと、考えてみてくれないかな」
ユリとのこと…?それって、二人の将来ってことで…結婚、とか……?
今までそんなこと、考えたこともなかった…
だけどここでいきなり結論を出すことは出来なかった。
「わかったよ。考えてみる…」
ヒョク…自分の気持ちを確かめるどころかますます混乱してきたよ…
『ドンヘの心の中に、私はいる?』
ユリの言葉が、頭の中でリフレインする。
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さくらこ(プロフ) - まあさん» まあさん、初コメありがとうございます!絶妙だなんて(///△///) 自分ではもう、ない知恵振り絞ってる感じなんですが^^;2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね! (2013年10月23日 17時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ごんごんさん» ごんごんさん、コメントありがとうございます!そうなんですよね。ぶつければいいと思うんだけど…なかなか、うまくいくか…って感じです。2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね! (2013年10月23日 17時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。いつも絶妙な展開で楽しませて頂いてます(*^^*)これからのドンへの展開楽しみです(*^^*)さくらこさんのセンス大好きです!!! (2013年10月23日 0時) (レス) id: 9c0e6bd832 (このIDを非表示/違反報告)
ごんごん(プロフ) - ドンへさん自分の気持ちに気づいたならその気持ちをぶつけちゃって… いつも楽しみにしています^_^ これからの展開がとても気になります>_< (2013年10月23日 0時) (レス) id: 3fe715c8fc (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ミイさん» ミイちゃん、いつもコメントありがとう〜ドンへ、そろそろ気づかなきゃダメよね^^;ヒチョルも絡んで複雑…です^^; (2013年10月16日 23時) (レス) id: a388da78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi*ku | 作者ホームページ:http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時:2013年10月3日 4時