突然のキス〜DH〜 ページ28
*
「おい、始まるぞ」
事前収録を終えた俺たちは楽屋に戻ると、そこにあるモニターで
ハニのステージが始まるのを待った。
暗転から、一筋のスポットライトが舞台中央に当たるとハニが現れる。
そこにいたのは、ついさっきまで俺たちとふざけてじゃれてたハニじゃなかった。
妖艶な色気を放って。
ミニ丈のドレスから伸びる細い脚が、ぞくりとするほど綺麗で…
「ハニ、こんなに色っぽかったっけ」
ヒョクが間抜けな声を出して。
俺はきっと、それよりももっと間抜けだっただろう。
「ぁ、ああ…」
知らないうちに、体に力が入るのがわかる。
気づいたら、膝の上に置いた両手をガッチリと握ってた。
「ヒチョリヒョン、来る…」
ひときわ大きな歓声と共にヒョンが現れて、客席は一気にテンションが上がる。
ハニ、飲まれるな!
俺は心の中で叫んでた。
本当なら、あそこにいたのは俺だったかもしれない。
だけど結果的に、ヒチョリヒョンだからこそここまで話題にもなって
ヒットもしてると思うから。
喜んであげなきゃいけないのも確かで…
今更ながら、そんな複雑な思いでハニのステージを見てた。
ふと、握った拳の上に柔らかい手の感触。
「ドンヘ…」
「ユリ…」
「ドンヘの方が緊張してるみたい」
「あ、ああ、妹だしな…」
「ドンヘ、あのね。私、ドンヘに話したいことが…」
「あ!」
ヒョクの発した声に驚いて画面に移した俺の視界に飛び込んできたのは
ラスト数秒、ライトが消える瞬間の出来事で。
見つめあった2人の上をクレーンカメラが移動してほぼ見切れる寸前、
ヒチョリヒョンはハニに近づいて。
確かに、キスした。
俺は気づいたら椅子から立ち上がってた。
「ドンヘ…?」
「ヒョン…っ」
なんなんだよ。
何でそんなこと……
きっと、あの場面は放送されたはず。
「ヒョン、あれはやりすぎだろ…なあドンヘ…」
「………」
ヒョクの声も聞こえない。
ただ、湧き上がる言いようのない感情を持て余してその場に立ち尽くした。
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さくらこ(プロフ) - まあさん» まあさん、初コメありがとうございます!絶妙だなんて(///△///) 自分ではもう、ない知恵振り絞ってる感じなんですが^^;2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね! (2013年10月23日 17時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ごんごんさん» ごんごんさん、コメントありがとうございます!そうなんですよね。ぶつければいいと思うんだけど…なかなか、うまくいくか…って感じです。2章に移行しましたので、引き続きおつきあいくださいね! (2013年10月23日 17時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。いつも絶妙な展開で楽しませて頂いてます(*^^*)これからのドンへの展開楽しみです(*^^*)さくらこさんのセンス大好きです!!! (2013年10月23日 0時) (レス) id: 9c0e6bd832 (このIDを非表示/違反報告)
ごんごん(プロフ) - ドンへさん自分の気持ちに気づいたならその気持ちをぶつけちゃって… いつも楽しみにしています^_^ これからの展開がとても気になります>_< (2013年10月23日 0時) (レス) id: 3fe715c8fc (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ミイさん» ミイちゃん、いつもコメントありがとう〜ドンへ、そろそろ気づかなきゃダメよね^^;ヒチョルも絡んで複雑…です^^; (2013年10月16日 23時) (レス) id: a388da78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi*ku | 作者ホームページ:http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時:2013年10月3日 4時