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「例の人のことでしょ?そんなにイライラするぐらいなら付き合えばいいのに。そうすれば会えなくても少しはマシになりません?」
「…好きだとはとっくに伝えてる」
「え?そうなんですか?」
思わず返事をしてしまって。しかもこんなことこいつに言うつもりなんかなかったのに。何言ってたんだ俺。
「え、じゃあフラれちゃったんですか?」
「本当の好きじゃないって言われた」
「ええ?軽い感じで伝えたんですか?」
「つーか、なんで相手が女で、俺がそいつのこと好きって知ってんだよ」
「そんなこと?だって俺を会わせたくなくて独り占めしようとしたり、会えなくてイライラしてるなんて好きな人だからでしょう?」
事もなげに言うジョングクの様子に、確かにと納得している自分もいて。俺、分かりやす過ぎだろ。
「それじゃあ好きだって伝え続けるしかないんじゃないですか?」
「そのつもりだけど…ってか俺はなんでお前と恋愛相談してるんだよ」
「えーだってヒョンのそういうの見たことないし、気になるし。俺も会いたいし」
「だから会わせるつもりないから」
「じゃあ彼女になってからでいいんで!ヒョンの彼女になるってことは俺にとってはヌナでしょう?」
「人見知りの癖によく言うわ」
「そうですけど…でもヒョンがそんな優しい顔するってことは、きっと初対面でも話しやすい人なんだろうなって思うし」
ジョングクの言葉に、確かにって思った。きっと人見知りだろうが、Aの温かい雰囲気とかあの全てを包み込むふんわりとした笑顔を見たら気に入ってしまうだろう。やっぱりジョングクをAに会わせるのは無理だ。
「やっぱ、会わせんのは無理」
「なんで!」
「お前があいつのこと気に入ったら困るから」
「えー会う前から気に入ってるけど」
「なんでだよ」
「だってユンギヒョンの雰囲気を変えた人だから」
「はあ?」
「機嫌がよかったり、優しい顔してその人の曲弾いたり、愛おしそうに歌を口ずさんだりして」
本当にこいつは人のことをよく見てる。そして改めて言われると照れる。
でも確かにその通りで。こんなにも人に依存するのも俺には初めてのことで。改めてAの存在の凄さを感じる。
「まあ考えとくわ」
「やった!絶対ですからね!!」
「可能性はゼロに近いと思っとけよ」
「ヒョンなら最後は俺のわがままを聞いてくれるって信じてます」
「自分で言うな」
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涼音1006(プロフ) - 藍さまのお話を読むと、しっとりした空気を感じたり、優しいメロディーが聞こえてくるようでとても心地良いです。1日の終わりにベッドの上でゆっくりと読み返すのが楽しみです。これからも応援しております!お身体にきをつけて下さい(*^^*) (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼音1006(プロフ) - 藍さまはじめまして!「キミと奏でる〜」のキラピュアなユンギ氏と(←言い方)、「ひと夏〜」のチャラ甘で砂糖増量(←言い方!)なユンギ氏が最高すぎて、ここ数日で一気読みさせて頂きました♪続→→ (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 天然記念物さん» こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。1番だなんて、そんな恐れ多いお言葉!嬉しい限りです。次回もキュンキュンできるような作品をお届けできるよう頑張ります。 (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念物(プロフ) - とても面白かったです。今まで読んだ中で私的に1番キュンキュンしました!素敵な作品をありがとうございました。次回の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月20日 22時) (レス) id: 70eef4ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2018年8月12日 12時