＃26 ページ26
.
今日ユンギさんが訪ねてきてすぐも抱きしめられた。その時も同じようにどきどきしたけれどユンギさんの顔は見れなくて。そして必死に縋りつくようなユンギさんの様子に応えてあげなきゃっていう思いもあって。
そう思って気付く。あぁわたしユンギさんに対して、母性本能みたいなものを感じていたんだって。縋るように強く強く抱きしめてくるユンギさんに抱きしめ返したいって感じて。そんな想いだったのに。今は違う。心臓の音が煩くて、熱が集中して顔は熱くて。
「ユンギさん…」
「俺もすごい心臓煩いけど、Aもどきどきしてる」
「言わないでください…ユンギさん、本当にどきどきしてるんですか？」
「分からない？」
そう言って更に強く抱きしめられるからもう何が何だか分からない。
「感じる？俺がどきどきしてるの」
「自分の心臓の音が煩すぎて何も感じられません」
半泣きで答えればユンギさんは楽しそうに笑ってて。更にきつくきつく抱きしめてくるから困る。
会えば会うほどユンギさんとの距離が近くなって。それは嬉しいことなんだけれど、心臓には悪くて。ユンギさんのこと教えてくださいって言ったのは自分なのに、こんなに曝け出されても身が持たないって我儘なことを思う。
「ユンギさん」
「なに、離さないよ」
声を掛ければすかさず言われる言葉に苦笑してしまう。
「離さなくていいので少し力を緩めてください」
「ん」
わたしは座ったままだからユンギさんにとって辛い体制だろうに、それでも離れないし離そうとしない。相変わらず心臓は煩いぐらいどきどきしてるし、恥ずかしさもあるけれど…
でもそんな様子を見てると可愛らしいとも思ってしまって。そうすればまた抱きしめ返してあげたいなんて、そんな想いが生まれてきて。
立ったままなユンギさんを座らせてあげて、わたしからも抱きしめてあげる。ユンギさんから抱きしめられるとどきどきしてしょうがないのに。こうやって自分から抱きしめればそんなことはなくて。それが不思議だった。
心臓に悪いから今度から抱きしめられる前に自分からしよう。そんなよく分からない決意を抱いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼音1006(プロフ) - 藍さまのお話を読むと、しっとりした空気を感じたり、優しいメロディーが聞こえてくるようでとても心地良いです。１日の終わりにベッドの上でゆっくりと読み返すのが楽しみです。これからも応援しております！お身体にきをつけて下さい(*^^*) (2021年6月3日 20時) (
レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼音1006(プロフ) - 藍さまはじめまして！「キミと奏でる〜」のキラピュアなユンギ氏と（←言い方）、「ひと夏〜」のチャラ甘で砂糖増量（←言い方！）なユンギ氏が最高すぎて、ここ数日で一気読みさせて頂きました♪続→→ (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 天然記念物さん» こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。1番だなんて、そんな恐れ多いお言葉！嬉しい限りです。次回もキュンキュンできるような作品をお届けできるよう頑張ります。 (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念物(プロフ) - とても面白かったです。今まで読んだ中で私的に1番キュンキュンしました！素敵な作品をありがとうございました。次回の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月20日 22時) (レス) id: 70eef4ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍
| 作成日時：2018年8月12日 12時
