#16 ページ16
.
初めてAの家に入れた時から1ヵ月が経とうとしていた。早すぎだろ。ってか、俺忙しすぎだろ。月1でしかAに会えないなんて。
「ヒョン、この後の予定は?」
「順調にいけば終わりだ。久しぶりに早く仕事を終えれるんじゃないか?」
マネヒョンに予定を聞けば今日の夜は空いていそうな様子。最近は遅くまで仕事があったり練習があったりで全く時間がなかった。中途半端な空き時間も疲労で寝てたし。
仕事が早く終わればAのところに行こうと思って出かけたい旨を伝える。基本俺は作業で引きこもってるから、久しぶりの外出も止められることはなかった。後はうるさいテヒョンに捕まらないようにするだけ。
そう言えば最近はジョングクも俺にまとわりついてくるな。あいつは感がいいから…多分俺の変化に気付いてる。まぁあれだけAの歌を口ずさんでたら他の奴らも気付くか。とにかく気付かれないように出ていかないと。
マネヒョンの言う通り仕事は順調に進み、珍しく早く終わった。まだ明るいうちに宿舎に戻ることができた。他の奴らが自由に過ごしているうちにそっと外へ出て、そのままAのもとへ向かう。
明るかった空が着く頃には赤い色に染まっていた。
いつものようにAが子どもたちにピアノを弾いている所に行ってみたが、誰もいなかった。それもそうか。もう日も暮れるし。
そのままあの時のように柵越しに裏へ回る。その途中に大きな荷物を持ったAを見つけた。
「A」
小さく呼べばきょろきょろとしてそして俺に気付き嬉しそうな顔をする。その笑顔を見て俺も嬉しくなる。ちゃんと待っててくれたって。
「お久しぶりです、ユンギさん」
「あぁ…重そうだな」
「いつものことなんで平気ですよ。これ片付けますので、先に家の方に行ってもらってもいいですか?」
「もう終わりなのか?」
「はい、これを片付けたら終わりです。いいタイミングでいらっしゃいましたね」
そう言っていつものようにふんわりと笑う。変わらないAの姿に俺は安心して、Aに言われた通りに裏までまわり家の前まで行く。
どうしようかと思ったが、戸に触れてみれば鍵は閉まっていなかった。物騒じゃないのか?と思ったが、田舎だし教会の敷地内だから問題ないのか?いやでも、女が1人で暮らしている家の鍵が閉まってないってどういうことだよ。
.
267人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼音1006(プロフ) - 藍さまのお話を読むと、しっとりした空気を感じたり、優しいメロディーが聞こえてくるようでとても心地良いです。1日の終わりにベッドの上でゆっくりと読み返すのが楽しみです。これからも応援しております!お身体にきをつけて下さい(*^^*) (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼音1006(プロフ) - 藍さまはじめまして!「キミと奏でる〜」のキラピュアなユンギ氏と(←言い方)、「ひと夏〜」のチャラ甘で砂糖増量(←言い方!)なユンギ氏が最高すぎて、ここ数日で一気読みさせて頂きました♪続→→ (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 天然記念物さん» こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。1番だなんて、そんな恐れ多いお言葉!嬉しい限りです。次回もキュンキュンできるような作品をお届けできるよう頑張ります。 (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念物(プロフ) - とても面白かったです。今まで読んだ中で私的に1番キュンキュンしました!素敵な作品をありがとうございました。次回の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月20日 22時) (レス) id: 70eef4ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍 | 作成日時:2018年8月12日 12時