不良少年(?)、テヒョンくん。2

33. JK ページ33

___







「さっみぃ...」





一年で一番嫌いな日、クリスマス。



街には幸せそうなカップルや家族で溢れかえっている。







「家族か...」






生まれた時から独りで生きてきた俺には縁のない言葉。





コートの襟を立てて極力風の当たる面積を少なくして歩く。






大勢の人がいる広場らしきところに来た時だった。







【っ離して！！】







後ろから女の声が聞こえる。







『いいじゃんおねーさん、俺と遊ぼうよ』







聞き覚えのある声がして、後ろを振り向く。







「おい、」






抵抗している女の腕を掴んでいる男の手を振り払う。









『あれ？ジョングク、久しぶり。』





「まだこんなバカみたいなことしてんすね、ホビヒョン」






その瞬間、女を逃がした。







『せっかく捕まえたこ逃がすなよな〜ジョングク』






「相変わらずっすね、ヒョン」




『お前が俺のことから逃げてもう一年以上経つな〜』




「逃げたんじゃないです、間違ってるって気づいたんです。」





孤児院にいた俺を拾ってくれたホビヒョン。



小さい頃の俺はずっとヒョンに憧れていた。



でもいつからだろうか、ヒョンが変わった。



このままじゃだめだと思いヒョンのいる組織を抜けた。







『勝手に更生しやがって』





組織を抜けた後俺は真面目に生きてきた。



ある人を探しながら。







「間違ってるんですよ、ヒョンが」







その言葉を聞いて腹が立ったのか、俺を殴った。





『お前を育ててやったのは誰だよ』




「っ、ヒョンですよ」




『ふざけんな』








もう一発殴るヒョン。







「もう人を殴らないって決めたんです俺」




『へぇー、何？正義のヒーローにでもなったつもり？(笑)』





「そうかもしれないですね」





『っ、目障りなんだよ！！』





ふらつく俺の肩を思いっきり押された。






.








.









.









キキ―ッ....バンッ！！






≪ｷｬｱｱ！！！≫







一瞬のことだった。




体が空中に投げ出されたと思ったらものすごい勢いで道路に叩きつけられた。








『やっべ...』








急いで逃げるホビヒョンの後ろ姿。





沢山の人が俺の周りに集まってくる。








「死ぬのか....」








頭から温かい血液が出てきてるのが分かった。




意識が朦朧とするなか、俺はある人の名前を心の中で呼んだ。







誰にも愛されない寂しい人生だった。

34.→←32.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す