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その後はもう無意識だった。

危ないって直感的に思って。車道側を歩いてくれているグクを守らなきゃって思って。気付いたら体が動いていた。


「ジョングク!!」


叫ぶようにグクの名前を呼ぶ。同時に隣いるジョングクを突き飛ばす。このままだとバイクがジョングクにぶつかってしまう。

それからはスローモーションだった。ほんと、こういう時って全ての動きが全部ゆっくりに見えるんだってどこか他人事のように思った。

勢いよく押したジョングクの体はいつもなら考えられないほど呆気なく前に飛んでいって。そして真っ直ぐにわたしに向かってくるバイク。

声なんて出なくて。気付いたら宙に飛んでいた。ああ、今日はいい天気だったな、なんてそんなどうでもいいことを思って。

ふわりと浮遊感を感じたと思ったらそのまま、下に落ちていくのを感じた。ああ、わたしこのまま死んじゃうのかな、なんて。

別に死ぬことは怖くないけれど。でもジョングクと離れるのは寂しいな。まだまだ傍にいたかったな。

まだ見に行こうって約束した映画も見てないし。新しく始まるジョングクたちの活動も見てないし。他にも行きたいところも一緒にやりたいこともあったのに。

そんなことを考えていたら、今までジョングクと過ごしてきた日々が頭を巡った。ああ、これが走馬灯ってやつ?やだ。わたし、本当に死んじゃうみたいじゃん。こんな簡単に死んじゃうんだ。まあでもわたしの人生ならそんなもんかな。

今までが特別過ぎたんだよね。ジョングクに会えて、ジョングクに好きになってもらって、ジョングクを好きになって。いっぱいいろんなことを教えてもらって、経験させてもらって。そして温かい場所を作ってもらって、たくさんの優しさに包まれて。

ぜんぶ、ぜんぶジョングクのおかげ。わたしには眩しすぎて、勿体ない出来事。ありがとうね、ジョングク。わたしをたくさん愛してくれて。わたしの好きを受け入れてくれて。

ジョングクを守れて死ねるならいいかな。わたしの人生最後にしたことがジョングクを助けたことなら悔いはないよ。

でも1つだけ願うなら、もうちょっとジョングクの隣に居たかったな。ジョングクの隣は温かくて、居心地がいいから。とても幸せな気持ちになるから。



大好き。愛してる。



最後にそう言えれば良かったのに。抱き着くだけじゃなくて、言葉にすればよかった。


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セナ - まさかの記憶喪失だったという展開にとても驚かされました...!!!次回作も楽しみにしております(*^^*) (2021年8月11日 12時) (レス) id: 1946a1a89c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆうりさん» ありがとうございます!こちらこそ嬉しいお言葉を頂けて感謝でいっぱいです。ぜひぜひ、次回作もお付き合い頂けたらと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます!毎回みき様の素敵なお言葉に癒されておりました。タイトル通りひたすら優しさを漂わせていたお話だったのでそう言っていただけて嬉しいです。もし機会があれば書いてみたいと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!!とても好みの話でいつも楽しみに待っていました!次回作も時間がありましたら待っていますのでどうぞよろしくお願いしますm(__)m最後まで楽しませてくださってありがとうございました! (2019年2月25日 14時) (レス) id: 5e5d1321e9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結お疲れ様でした。悪い人がいないとてもしあわせな話でした。この2人のしあわせな姿をずっと読み続けたいし、事故に遭う前の2人のしあわせな話も読んでみたいです。いつも更新楽しみにしていました。ありがとうございました。 (2019年2月25日 12時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月20日 20時

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