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「あのね、グク。聞いて欲しいんだけど」
「なに?」
「グク…わたしジョングクに恋したみたい」
「なにそれ」
唐突にそう言うわたしに、不思議そうな顔をして首を傾げる。そんなジョングクにゆっくりと聞かせるように話す。
「グクとの思い出を忘れちゃって、初めましてのジョングクに会って。グクの優しさとか温かさに触れて、一緒に居るのが心地いいなって思って、そうやって一緒に過ごしてたらジョングクに恋してた」
「それ本当?記憶を無くしたAも僕のこと好きになったの?」
わたしの言葉に目をきらきらさせて嬉しそうに聞いてくるから、わたしも嬉しくなって頷く。
「うん。グクと出会って好きになって付き合うようになった時と同じ。全く一緒の気持ちを抱いたの。ジョングクは温かいなって思って、もっと一緒に居たいな、好きだなって思ったの」
「嬉しい…このままAが僕のこと思い出さないなら、また好きになってもらうしかないって思ってたから」
「ふふふ…もうとっくに好きになってたみたい」
「それなら言ってくれたらよかったのに」
不貞腐れるジョングクが可愛くて、抱き着いてくる頭を撫でればさらに甘えてくるから笑ってしまった。
「ジョングクのおかげ。わたしに優しさと温かさを与えてくれて、好きで包み込んでくれてありがとう。またジョングクに恋することができた」
「ただ必死だっただけだよ」
ちょっと照れたように早口で言うジョングクに愛おしさを感じる。記憶が戻る前よりもそうやって思うことが多いってことは、やっぱり好きが通じるって大きいことなのかな。そう思ったらなおさら思い出せて良かったって思うし、記憶がない時もジョングクに恋することができてよかった思う。
「それはジョングクのわたしへの気持ちが大きかったからでしょ?すごく嬉しい。わたしジョングクに2回も恋に落ちることができたなんて幸せ者だね」
「僕としてはあんまり嬉しくないけどね」
また不貞腐れるジョングクに、表情がころころ変わって忙しいなって思う。そんなジョングクも可愛いんだけれど。
そっとジョングクの両手を掴んで、真っ直ぐに目を見る。そうすればジョングクもわたしの手を握り返してくれて、同じように真っ直ぐにわたしを見てくる。
「でもね、また記憶を無くしたとしても」
「もうそんなこと起きないで。忘れるなんてしないで」
嫌だ嫌だって首を振るから、わたしもそうじゃないって首を横に振る。
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セナ - まさかの記憶喪失だったという展開にとても驚かされました...!!!次回作も楽しみにしております(*^^*) (2021年8月11日 12時) (レス) id: 1946a1a89c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ゆうりさん» ありがとうございます!こちらこそ嬉しいお言葉を頂けて感謝でいっぱいです。ぜひぜひ、次回作もお付き合い頂けたらと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます!毎回みき様の素敵なお言葉に癒されておりました。タイトル通りひたすら優しさを漂わせていたお話だったのでそう言っていただけて嬉しいです。もし機会があれば書いてみたいと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!!とても好みの話でいつも楽しみに待っていました!次回作も時間がありましたら待っていますのでどうぞよろしくお願いしますm(__)m最後まで楽しませてくださってありがとうございました! (2019年2月25日 14時) (レス) id: 5e5d1321e9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結お疲れ様でした。悪い人がいないとてもしあわせな話でした。この2人のしあわせな姿をずっと読み続けたいし、事故に遭う前の2人のしあわせな話も読んでみたいです。いつも更新楽しみにしていました。ありがとうございました。 (2019年2月25日 12時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年2月20日 20時