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「じゃ、じゃあ…記憶が戻った可能性はないってことですか?」
「そこはなんとも言えません。きっかけになった可能性はあります。ただ記憶を思い出すということは脳には大きな負担になることですので…思い出しても意識を失った結果また失ってしまうこともあります」
「そう、なんですね…」
見るからに落胆した僕の手をジニヒョンが静かに握った。手なんか握らないなんて言ったのに。先に握ってきたのはジニヒョンなんだからね。なんて心の中で強がりながらも、その手を強く握り返したのは僕で。やるせない気持ちでいっぱいになる。
「いずれにしろ、Aさんに大きな負担がかかって意識を失ったと考えられます。ですのでなるべくストレスと与えないようにする必要があります」
「それで…いつAは目を覚ますんでしょうか」
「何とも言えません。きっと今Aさんは防衛状態に入っていると思います。トラウマ、ストレス、恐怖感、不安感、いろいろあると思います。それに打ち勝って目を覚ますのをわたしたちは見守るしかないと思います」
「分かりました…」
その後も先生からの検査結果とか、今後のこととか聞かされて。そして励まされて。隣のジニヒョンもずっと僕の手を掴んで気にしてくれていた。
思った以上にショックが大きかったみたい。記憶が戻ったわけではない。それどころかトラウマになってるかもしれないなんて。そんなことになってるんだったら、記憶は戻らない方がいいんじゃないかなんて思えてしまって。でもそれは僕が困るんだけど。
またAが苦しむのかな、辛い目に遭うのかなって思ったら悲しくなってきて。なんでAばかりそんな目に遭わないといけないんだろう。どうして平和に過ごせないんだろう。せっかく僕とAの距離が縮まってきたのに。上手くいかないや。
「ジョングク…」
「ジニヒョン…A、僕と顔を合わせるのが辛いとかそんなことにはなりませんよね」
「そんなことは…」
「僕の顔を見て事故を思い出して苦しむなんて、そんな残酷なことないですよね」
自分で言ってて苦しくて、悲しくて、涙が溢れてきた。
「気の利いたこと言えなくてごめん。でも大丈夫だよ。Aちゃんとジョングギだもん。2人の間にそんな悲しいことは起きないよ」
そっと僕の腕を引いて抱きしめてくれるヒョンに体を委ねる。今だけは弱い僕でいるのを許してほしい。Aの前ではちゃんとするから。
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セナ - まさかの記憶喪失だったという展開にとても驚かされました...!!!次回作も楽しみにしております(*^^*) (2021年8月11日 12時) (レス) id: 1946a1a89c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ゆうりさん» ありがとうございます!こちらこそ嬉しいお言葉を頂けて感謝でいっぱいです。ぜひぜひ、次回作もお付き合い頂けたらと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます!毎回みき様の素敵なお言葉に癒されておりました。タイトル通りひたすら優しさを漂わせていたお話だったのでそう言っていただけて嬉しいです。もし機会があれば書いてみたいと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!!とても好みの話でいつも楽しみに待っていました!次回作も時間がありましたら待っていますのでどうぞよろしくお願いしますm(__)m最後まで楽しませてくださってありがとうございました! (2019年2月25日 14時) (レス) id: 5e5d1321e9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結お疲れ様でした。悪い人がいないとてもしあわせな話でした。この2人のしあわせな姿をずっと読み続けたいし、事故に遭う前の2人のしあわせな話も読んでみたいです。いつも更新楽しみにしていました。ありがとうございました。 (2019年2月25日 12時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年2月20日 20時