【完】ニセモノの恋をはじめましょう JK

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『……着いたよ、降りよう』




無言のまま、夜道を歩く。


気まずい。


『あ、うちここだから』


アパートの目の前で足を止めた。



『……じゃあ、今日はありがとうね。
また、連絡するね！気をつけて帰って！』


明るく振る舞う。
きみはいま何を考えていますか？





「A」

『なに？』

「こちらこそ、今日はありがとう」


グクは私を見て微笑んだ。
綺麗に笑うひとだなあ。


「何かした方がいい？」

『え？』

「恋人ってこうやってただ普通に見送ればいいの？」

『……そんなの、自分で考えなよ』


そう言うと、グクは「そうだよね」って笑った。


『なんでもかんでも聞かないで、』

「じゃあチューする」



その言葉がきこえてきて、すぐ、グクの顔が近づいてきた。





目を合わせると、また揺れたから。
私は目を閉じた。


ためらいがちにやわく触れた唇は、




ほろ苦かった。








「おれも、好きです」






その甘い言葉は、わたしに重ねた"先輩"へのもの。




彼が先輩しか見ていないことを知りながら、
私はふたたび、彼の唇に自分のそれをくっつけた。






さて、タイムリミットはいつなんでしょう。





＊ ＊ ＊

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