２９ ページ29
.
軽く屋台の食べ物を入れて、ようやく花火が始まる時間になった。
「そろそろ行こう」
花火の見える海側とは反対方向に私の手を引いていくジミン。
『ジミン？もう直ぐはじまっちゃうよ？』
振り返ったジミンは私の顔を見ると、吹き出すように笑った。
「そんなに悲しい顔しなくても花火は見れるよ。
静かでよく見える場所に移動するだけ」
そういうと、また駐車場へと戻って車を動かした。
「Aちゃんも、着けばどこか分かるよ」
ハンドルを握る隣から聞こえた声。
思い出そうとしてみるけど、思い当たる場所は無くて。ただ静かに目的地を待った。
今日一日だけでも何度も見た道へと戻っていく。
こっちの道は、おばさんの家に帰る方向だ。
だけどおばさんの家からは音はするけど花火は見えない。
毎年毎年、音の鳴る夜空を見上げていたから。
二つに分かれる道。
おばさんの家がある右側_____ではなく、左側へと進み始めた。
『………ぇ、』
私の小さく漏れた声は、ジミンに聞こえたかはわからない。
今までにないほどの鼓動に吐き気さえしてくる。
この先には、来ようと思ってなかった。…見るのが怖かった。
大きな木々を抜けた先に見えた、…小屋。
7年前と何も変わらないその雰囲気。
「昔は知らなかったんだけどね、ここ、俺の家の敷地なんだって」
『そ、そうなの？』
「うん、おじいちゃんが建てたんだって」
『へぇ…』
小さいけれど、立派な小屋。
周りは木しかないし、電灯なんてものもないこんな場所にどうしてジミンのおじいちゃんは小屋を作ったんだろう。
中には何も無いのに…。
車を降りるとジミンはすぐに携帯をライトを付けてから自然に私の手をとった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 439人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「BTS」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💕 (11月9日 0時) (
レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：130号室
| 作成日時：2022年10月1日 0時
