あの夏の想い出に、さようなら

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射的は、ジミンに笑われてしまうくらい酷かったらしい。

商品と商品の間に毎度すり抜けてしまうコルクに、思わず皺を寄せると温かいものが背中を包み込んだ。




「いい？もっと銃は身体に寄せて、持つときの手はこうね」




後ろから覆い被さるように私の身体を包むジミン。

痛いくらい大きく跳ねた心臓に、ぎゅっと手に握る銃に力を入れた。




「そう、当てたいものに視線を合わせて？」




囁くような優しい声色と、首にかかる息。
何もかもが私を混乱させる材料となり、酔ってしまったようにくらくらとした。


何度か打って、ひとつも取れなかった私にまた優しく微笑んでから、今度はジミンが打ち出した。

コルクが空き缶に当たる音が清々しいけれど、その実力に私の目をまんまるにさせる。


いくつか取ったものはどれも小さな動物のキーホルダー。
大人がやるような物じゃない分置いてあるものも子供が喜びそうな物ばかり。


だから、正直欲しいとは思えない物だった。だけど、




「これ、Aちゃんみたいで可愛い」




嬉しそうに、だけど恥ずかしそうに差し出されたウサギのアクリルキーホルダーは、この店に置いてあったどんな物よりも魅力的なものになった。


ヨーヨー釣りは、面白いくらいどっちも下手だった。


「お互いに似合いそうな物を釣ろう」だなんて話だったのに、大誤算。

そもそも小さな子供でも取れるように引っ掛けるフックの部分はかなり硬く作られているらしいのに。




「ねえ、俺らやばくない？」


『…これは、やばい』




全く釣れない自分達が面白くて目を合わせて大笑いした。

何度か挑戦して、ようやく釣れたのは白いヨーヨー。
サイズも他のものに比べて一回りくらい小さく、このサイズを取るのが限界だった。


対してジミンが釣ったのは薄紫の他よりも大きなヨーヨー。




「今日のAちゃんと同じ色のヨーヨーこれしかなくて手こずっちゃった」




ヨーヨーと浴衣を交互に見て満足そうに息を吐いた。
この浴衣と同じ色の為に何度も挑戦してくれてたんだ…。









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