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「おかえり。準備は出来てるわよ」




ジミンが車を停めたのは、おばさんの家だった。

手には浴衣を持っていて、思わずジミンの方を見るとにっこりと微笑まれた。




「ここで待ってるね」


『…準備したの?』


「折角ならね」


「ほら、着替えるのには時間がかかるから、早く始めましょう」




おばさんに手を引かれ居間へと向かう。
もう一度振り返った先のジミンは玄関の壁に寄りかかりながら私に小さく手を振った。




「昨日の今日で、よくこんな綺麗な浴衣を見つけてきたものね」




白い花びらの薄い青色で縁取った牡丹の花をおばさんは指で優しく撫でた。

ベースになってるくすんだ紫色も派手すぎない牡丹も子供の時には着れないような大人な雰囲気を漂わせる。


おばさんは肌着だけになった私を浴衣に纏わせてながら
昔はこうしてあなたのお母さんに着付けたわ。と小さく笑った。


髪の毛も纏めてくれて、化粧も一度落としてから浴衣似合うように濃過ぎないメイクを施してもらった。

姿見に映った自分は、自分じゃないみたいだった。



『……綺麗』



思わず口に出してしまったその言葉に、おばさんは優しく笑って「あなたはとっても綺麗よ」と言ってくれた。




『おばさん、本当にありがとう』


「あ、ちょっと待ってね」



襖から取り出した紅い箱の中から、取り出したものは白い花のついたかんざしで、私の耳の上にそっと付けてくれた。



「よし、これで完璧ね」


『ありがとう、おばさん』


「……」


『…おばさん?』




私の髪や服をそっと撫でて遠い目をするおばさん。




「…このかんざしね、おばさんが若い時に付けていた物で、
お父さんとお付き合いする前に夏祭りに付けて行ったのよ」




その頃を思い出すように小さく微笑む。




「それで、お付き合いすることになったの」


『…いいの?そんな大事な物なのに…』




おばさんは口角を上げたまま頷く。




「もちろんよ。これは、おまじない」


『…おまじない?』


「そう。おまじない」




…何の?と、聞くことは出来なかった。
おばさんが何を言いたいのか何となく分かってしまったから。









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リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです!これからも楽しみにしています🙇🏻‍♀️💕 (11月9日 0時) (レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:130号室 | 作成日時:2022年10月1日 0時

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