15 ページ15
.
私がそう言えばニカっと音がしそうなくらい四角く笑った。
「そうだよ!覚えててくれたんだ!」
多分、こっちがテヒョンくん。
「……ぁ、こんにちは、」
こっちがジョングクくん。
『こんにちは』
「ジョングクはAちゃんのこと覚えてないんだってさ。
無理もないよね、こいつは俺らに比べて2つも下なんだから」
『そうだったんだ』
「…俺、記憶力悪くて」
『ううん、大丈夫だよ。気にしないで』
申し訳なさそうに眉を下げたジョングクくんにそう言えば分かりやすくホッとした様子だった。
「さてと!ほら、俺らもう準備はバッチリだよ!」
「テヒョンもジョングクも助かったよ」
何をだろう?
首を傾げると気づいたジミンが私にふんわり微笑んだ。
「ここの川、覚えてる?
俺ら昔、ここで一緒に遊んだんだよ」
テヒョンとジョングクと4人で。ジミンはそう言った。
…そうだった。
何となく覚えてる。
テヒョンくんが走り回って、ジョングクくんが逃げて。
そんな2人の追いかけっこをジミンと目を合わせて笑った記憶が一気に脳内で再生された。
そしてこの川は、私が怪我をしてジミンがおぶってくれた場所。
…こっちの思い出は、忘れずにいられたのに。
「2人に協力してもらってさ、Aちゃんが来てるからってどうしてもやりたいことがあるって頼んだの」
『やりたいこと?』
「そう、ほら、こっち来て」
ジミンは私の右手をとって、目的地の方へと歩き出した。
「砂利道、転びやすいから気をつけてね」
『……』
「…Aちゃん?」
『…あ、う、うん。ありがとう』
ドクドクと鳴る脈のリズムが次第にスピードを上がっていく。
私よりも小さくて、柔らかくて可愛い手。
背比べも手や足の大きさも、毎年会う度にどっちが大きいかを勝負していた。
結局小6まで、私が連勝をしていたっていうのに…いつのまにか、どれもこれもジミンの方がずっと大きくなっていた。
そんなこと、昨日会った時から分かっていたはずなのに。
実際にこうして、手を握られて、私の手が小さく見えるほどすっぽり収まっているのを見て、更に実感させられた。
.
439人がお気に入り
「BTS」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです!これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💕 (11月9日 0時) (レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:130号室 | 作成日時:2022年10月1日 0時