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『………あの子?』




今日のようなはっきりと見える三日月みたいに、目を細める。




「…あの子ね、毎年ウチに来るのよ」


『……え、』


「今年はAちゃん居ませんか?今年も来てませんか?って」


『………っ』




あの子が誰のことか分かって、直ぐに答えられなかった。




「不器用よね。器用そうに見えて」


『…ジミンは、不器用なんかじゃないよ。少なくても、私よりも、ずっと』


「そうかしら。何年も毎年の様に来てたのに、いざAちゃんが来たってなったら何にも言わないんだもの」


「毎年Aちゃんが来ることを待ってたんだよ。って。それだけでも良いから、言えば良いのに」


『……』


「もどかしくて、私が言っちゃったくらいよ」




声を上げて笑うおばさんに、釣られて口の端を上げた。

…ジミン、そんな素振り無かったのに。
私のこと気にかけてくれていたんだ。


じんわりとゆっくり。
身体が温かくなっていくような気がした。




「布団は敷いておくから眠くなったら寝なさいね」


『うん、ありがとう。おやすみなさい』


「おやすみ」




1人になって、静寂の時間が戻る。


ジミンはどんな気持ちで毎年居ないおばさんの家に来ていたんだろう。
そして、私が居ないことを知って、どう思ったんだろう。

…早く、明日にならないかな。


生温かい風が、私を優しく撫でた。
冷えていない風を数年振りに心地いいと感じた。









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設定タグ:BTS , 防弾少年団 , ジミン
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リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです!これからも楽しみにしています🙇🏻‍♀️💕 (11月9日 0時) (レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:130号室 | 作成日時:2022年10月1日 0時

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