愛されメイドの備忘録 (ページ10)

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キミは何色？・青ページ10

「服乾かさないと…」

ついさっき手を滑らせバケツを倒してしまいメイド服が濡れてしまったのだが、たまたま居合わせた大倉さんの洋服を借りてなんとか掃除を終えることが出来た。

服も洗って返さないと…と思いながらメイド服を干していると、後ろから足音が近づいてくる。

咄嗟に振り向くが誰もいない。

首を傾げて視線を戻すと、私の着ている大倉さんのパーカーを至近距離で見つめる安田さんが居た。

「うわぁ…！？」

『うるさ…』

「いきなりはびっくりします…」

『大倉の匂いがする…これは大倉に着せられたんか、意図的にメイドが大倉に頼んだのか…』

「たまたま大倉さんがいらっしゃって…それで…」

『ふ〜ん…それで今堪能してるんや』

安田さんはパーカーを掴むと色付きサングラスの奥の瞳で私を鋭く見つめてくる。

「堪能って…これ終わったら着替えます！」

『まぁいいや…そのまま来て』

背中まで絵の具が付いてる安田さんの後を追って部屋まで向かうと、散らばった筆や絵の具を踏まないように部屋の中に入った。

「あの…本当に…」

声をかけようとした私の方に勢い良く振り向いた安田さんと同時に、白いパーカーに付いた青い絵の具。

安田さんの手には真っ青に染まった筆が握られていた。

「な…何してるんですか！」

『汚れには汚れを。白いキャンパスは俺の遊び場やから』

そう言うと筆をパーカーに押し付けようとする安田さんから咄嗟に離れた。

「駄目です！落ちなくなってしまいます！」

『だから何？困ることでもあるん？』

「大倉さんに返さないと…」

私は早く洗う為に部屋から出て行こうとすれば腕を力強く掴まれてしまった。