愛されメイドの備忘録 (ページ48)

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デート・青紫ページ48

珍し過ぎる。

陽の光が安田さんをとても綺麗に照らしていた。

『なんで俺が他の別に上手くもない凡人の絵を見に行かなあかんわけ？』

『しゃーないやろ？丸が見に行けへんようになってもうたんやから…暇なんヤスだけやし』

『暇やない！今日やって絵を…』

『Aは見に行きたかったんやもんな？』

「え…あ、はい！」

『俺の絵より…見応えあんねや』

ダボっとしたニットに白いズボンを着て、いつも絵の具で汚れる洋服ではない私服姿の安田さんに目を奪われ返答が遅れてしまった。

「あ…えっと…」

『どした？そんなに好きやったのか？この画家』

『ムカつく…Aに気に入られるなんてどこのどいつやねん…』

チケットを村上さんから奪い取ると、今まで乗り気じゃなかった安田さんだったはずなのに足早に美術館の中へと入って行った。

『なるほどな…メイドもやる女やな』

「ち…違います！村上さんが急に好きな画家とか言ったからです…！」

『すまんすまん笑
まぁヤスの機嫌取りにもなった事やし俺らも行こか』

安田さんの後を追うように私達も美術館の中に入ると、すぐに目に入ってきた大きな絵画。

描かれている女性から飛び出すように綺麗な赤いドレスが着飾られていた。

『凄いな…ドレスと絵画の融合ってこういうことやったんやな』

「綺麗…」

駆け寄って近くで見れば更に煌びやかに輝くドレスが美しく感じる。

『そういや…ヤスは？』

慌てて辺りを見渡すが安田さんの姿がない。

「もう奥に行ってしまったんでしょうか…」

『早いな…俺らはのんびりと行こか』

村上さんは私に合わせて鑑賞し、ゆっくりと奥へと進んで行く。

１回も安田さんと合わずとうとう最後のブースまで来てしまった。

するとそこには沢山の人集りが出来ていた。

『なぁ…あそこに居るのって』

「絶対安田さんですね」

人集りの中心で床に座り込み、何故かキャンバスに絵を描いている安田さんの姿があった。

〔あの有名画家安田さんとのコラボ作品が見れるなんて今日来てよかったな！〕

人集りは盛り上がりを見せ、どんどんと大きくなる。