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そしてその日の夜。
お風呂から上がった私は自室へと戻る途中、暗い廊下の向こうに人影を見つけ足が止まってしまう。
「はぁ…もう怖くない怖くない…」
下を向いたまま足早に歩いていけばﾄﾞﾝｯと何かにぶつかった。
『おかえり〜』
「ま…丸山くん！？」
『えへへ怖かったぁ？』
「ちょ…本当にやめてよ！」
『ほんま可愛ええ。行こ』
ｸﾞｲｯと勢い良く腕を引かれると自室とは反対の方向へと向かっていく。
解こうとしてもビクともしない丸山くんの手に掴まれたまま着いたのは橙色のドアの部屋。
『おいで』
「え…あ、いや流石に！」
『ええから…な〜んもせぇへんよ』
掴まれた腕に抵抗するように、立ったままベッドに入った丸山くんを見つめ首を振れば腕の力が強まる。
『Aちゃん…？』
「こんなの他の皆さんにバレたら…」
『添い寝ぐらいしてるやろ。やっぱり僕だけ…駄目なんや』
「そ…そういうわけじゃ」
『あ…じゃあ僕が信用出来ひんならカメラ付けといてあげる。
それか…僕の手足を縛り上げてもいいし、なんならAちゃんが怖くないように寝れるように僕のこと人形扱いしても全然ええよ！』
枕元の引き出しを開ければカメラや録音器具が沢山現れ、紐までも私の前に差し出す丸山くん。
「こんなの要らない。分かったから…今日は丸山くんの優しさってことで一緒に寝るね」
『ほんまに？やった…！』
広いベッドの布団の中に入れば丸山くんはすぐさま私の頭の下に腕を入れ込み力強く抱きしめた。
『幸せ…』
「温かいね…丸山くん」
『Aちゃんも温かいで』
安定した鼓動の音と丁度いい丸山くんの体温に、私は怖さを忘れあっという間に眠りについてしまった。
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作者名：夜 | 作成日時：2021年11月10日 20時
