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『ん？』
「美味しいね」
『そやねぇ』
食事を済ませ映画館に戻ると丸山くんがチケットを発券してくれる。
私はその間にお手洗いへ向かい、戻ろうとすればトントンと肩を後ろから叩かれた。
「はい？」
〔お嬢さん綺麗ですね〕
「え？」
〔良かったら…俺と遊んで？〕
いきなり男性に口元を布で覆われ人の少ない方へと連れて行かれる。従業員専用のドアをくぐるとよく分からない場所まで連れてこられてしまった。
「ん〜！」
〔君さ…丸山と居ただろ〕
「だ…誰なんですか！？」
〔あいつのせいで…俺の人生めちゃくちゃなんだよ！〕
思いっきり床に叩きつけられると男性はゆっくりと私へと近づいてくる。
「やめて…ください…！」
男性は壁際まで追い込まれた私の前にしゃがみ、強く髪の毛を掴んだ。
「いっ…！」
〔お前をボロボロにしてやれば…あいつも同じ目に合わせられる…！〕
嫌だ…助けて…。
私は心の中で叫ぶと目を瞑って震える身体を抑える。
すると、ドアが勢い良く開け放たれる音が廊下に響き渡った。
『A…！！』
「丸山くん…！」
凄まじい速さで走って来た丸山くんは、あっという間に男性を蹴り飛ばすと私の傍に駆け寄る。
『怪我は？！』
「大丈夫…だよ」
『ﾁｯ…』
丸山くんは倒れ込んだ男性を睨みつけると、ゆっくりと歩み寄っていく。
〔お前のせいだ！あいつを…無罪になんてするから…〕
『誰？お前』
〔は…？お前が無罪にした時声を荒らげて反対しただろ〕
『知らねぇよ…いちいち被害者の顔なんて』
〔っ…舐めんな！〕
殴りかかってきた男性の拳を軽く受け止めそのまま壁に押し付けると、冷たく真っ黒な丸山くんの瞳が男性を見下していた。
『逆恨みで人の女に手ぇ出してええと思ってんの？』
〔殺したきゃ殺せよ！それで法に裁かれろ…お前みたいな犯罪者の味方が！〕
その言葉に丸山くんは手を離すと怪しく口角を上げた。
『犯罪者の味方…ね。確かにそうや。でも…この世には冤罪という重く苦しいものが存在してんねん』
〔あいつが…冤罪だったのかって言うのかよ！俺は…〕
『俺は犯罪者だろうが、なかろうが依頼者の味方であると決めてる。それが俺の仕事や』
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作者名：夜 | 作成日時：2021年11月10日 20時
