愛されメイドの備忘録 (ページ43)

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デート・橙ページ43

丸山くんに誘われ映画館デートをすることになり、朝早くから2時間の映画を見たのだが、私は今映画館内の椅子に腰掛け意気消沈中。

『あれぇ…Aちゃんホラーあかんかった？』

「あかん…どころか断固拒否してるの！」

『あはは…すっごい震えてたもんねぇ、僕の手握ってきた時は可愛い過ぎたけど』

私に水を飲ませ優しく背中をさすってくれるのだが、表情はヘラヘラとからかい続けていた。

「もう…今日絶対寝れないよ…」

小さな声でふと思ったことを俯きながら呟くと、丸山くんが真顔で覗き込んできた。

『一緒に寝ればええやん』

「は…？」

『よーし早めの昼食食べたら2本目見ようねぇ〜』

「ちょっと…本当にもう無理…！」

私の手を掴んで映画館から出ていくと近くのファミレスへと入っていく。

『なぁに？不機嫌な表情しても…僕には可愛いとしか思えへんで？』

「帰りたい」

『んふふ…僕との約束破ったん誰やっけ？』

「私…」

『やんなぁ？僕さ…約束破られるんの1番嫌いやねん』

丸山くんはメニューを見ながら低い声で言うとすぐに笑顔で顔を上げた。

『Aちゃん何食べる〜？』

「わ…私はパスタにしようかな」

『食後のデザートは…半分こにしよっか？』

「うん…！」

丸山くんは注文を済ませると、水を1口飲んで少し前のめりに近づいてきた。

『で？なんで1人で買い物行ったん？』

「たまたま休憩中の使用人が居なくて…」

『待てばええやん』

「夕食作ってたからすぐに欲しくて」

『1人で…なるべく近くのスーパーに行った。ってこと？』

「うん…」

私は以前スーパーに買い物へ1人で向かった帰り道に、男の人に絡まれてしまったことがある。

偶然そこに丸山くんが来てくれて難を逃れたが、その日から1人で出歩かないという規律が作られてしまった。

『まぁ約束は約束やから。次は…無いで？』

「ごめんなさい…」

『はい、ちゃんと謝れてええ子〜』

頭を軽く撫でると丸山くんは手を離し笑顔で私を見つめる。

私はこの笑顔はあまり好きじゃない。

多分…次破った時のお仕置きを考えてるはず。