✿✿✿✿ ページ42
「あ…あの…気に入らなかったですか？」
村上さんの腕から抜けると、すぐに横山さんの元へ駆け寄った。
『ん…』
「似合うと思った丸メガネなんですけど…あの本当に嫌なら…」
『ありがと……』
「え…？」
耳をすまさないと聞こえないぐらい小さな声で声を発した横山さんは、耳まで真っ赤に染まり私と一切目を合わせてくれない。
「是非かけて見てください…！」
『帰ったらかける…』
「今でも良くないですか？」
『やから…帰ったらで』
『照れ屋なヨコはほっといて俺の買い物にも付き合ってや〜』
「え…あ…」
村上さんは私の肩を抱き寄せると横山さんから離れていく。
『っ…おい…待てや！』
年長のお2人は3人と比べてとても真面目で仕事ばかりに打ち込んでいるのだけれど、誰よりもお買い物が好きで私を色んな所に連れてってくれる。
いつも尽くされ過ぎているので少しでもお礼がしたかった。
これからもよろしくお願いします。
”
後日
『ええなぁ…やる気入るわ』
「良かったです。とてもお似合いで」
『ほんまにAは俺の事勘違いさせるのは上手いよな…』
「え？」
『ネクタイっちゅうもんは…恋人に贈るもんなんやで』
「そ…そうなんですか…！？」
『やから…俺はあれからずっと勘違いしとるからな？』
『……っ』
「な…なんですぐ顔背けちゃうんですか！」
『もうええやろ…行ってくる』
「仕事の時はメガネ付けないのに…ありがとうございます」
『別に…付けないわけじゃあらへんし…たまたまや！』
「はいはい、行ってらっしゃいませ」
『でも…あのさ……嬉しいから…ほんまに…ありがとな』
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作者名：夜 | 作成日時：2021年11月10日 20時
