愛されメイドの備忘録 (ページ41)

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「よし…今しかない…！」

私はお手洗いでは無い方向に向かうと、事前に調べていたお店に向かった。

「えっと…横山さんはこれで…村上さんは…」

貯めたお給料で2人へのプレゼントを買うと、私はフードコートへと戻る。

しかし、雑貨屋の中へ2人を探すが姿が見当たらない。

「あれ…？」

すれ違いになったのかと思い、お手洗いへ向かおうとすると後ろから勢い良く腕を引かれた。

「うわぁっ…っ！」

『A…どこ行くねん…！』

「横山さん…！」

『はぁ…遅いから心配してトイレ行っても全然出て来おへんし…嘘ついたやろ…』

『居ったか！心配したんやぞ！』

「そんなに遅かったですか…？」

『5分は遅い。せめて3分やろ』

さっきよりも不機嫌な表情をして強く腕を握る横山さんと、走っていたのか息が荒い村上さんに見つめられ、私は咄嗟にプレゼントを背中に隠した。

「3分は…女子には難しいですよ…」

『じゃあなんでトイレやない方から来たん？』

『あ…確かにな』

こういう時横山さんの敏感センサーが鋭く光る。

「それは…今からお2人に…」

『何？』

私は横山さんの手から腕を振りほどくとお2人の前にしっかりと姿勢を正した。

「今日はお2人に言いたいことがありまして…」

『なんや…辞めるとか言わへんよな？』

「私…」

後ろからプレゼントを前へと出そうとすれば村上さんが勢い良く私の両肩に強く掴みかかってきた。

『あかんで！？給料なら上げるし…休みも増やすし…』

「ち…違いますから！今日私はお2人に感謝の印としてプレゼントを渡したくて…！」

紙袋からラッピングされたプレゼントを2人の前に差し出すと、私は頭を下げた。

「いつもありがとうございます。全然お高い物でも大したものでもないのですか…」

『ネクタイやんけ！嬉しいなぁ…これから毎日これ付けるわ！』

嬉しそうに中からネクタイを取り出した村上さんは私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

「喜んで頂けたら…嬉しいです」

『どのネクタイよりもお洒落で嬉しいわ…ありがとな』

「いつも…村上さんには色々と貰ってますし…いつかお礼をしたいと思っていたので良かったです！」

村上さんに頭を撫でられたまま顔を上げて微笑みかけると、背中越しに袋からプレゼントを取り出したまま固まる横山さんの姿を見つけた。