愛されメイドの備忘録 (ページ16)

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✿ ページ16

『メイドちゃ〜ん……は？』

「丸山くん静かにしてて…」

『いやいや…こんなんずるいやん』

「最近大倉さんに構えてなかったから！丸山くんはいつでも…」

『僕にはそんな素直に甘えさせてくれへんのに…』

丸山くんは小さな声で文句を漏らすとそのまま戻って行ってしまった。

「あ、丸山くん…！」

慌てて声を出したが大倉さんが私の腕を強く掴んだ。

『作戦成功〜』

「え…？」

『丸が帰ってくんの知ってたからわざと』

「なんでそんなこと…」

『やって俺に構ってくれなくなるやん。丸はいつでも構えるんやろ？ずるいって言いたいのはそもそもこっちやし』

2人とも子供のように拗ねるから私はいつも手を焼いている。

起き上がった大倉さんの顔を両手で包むと柔らかい頬を優しく摘んだ。

「大倉さんも丸山さんも…私にとって大切な主人です。構って欲しい時は仕事終わりでも、いつでも私を呼んでください」

そう言って微笑みかけると、私の手が一回りも大きな手に包まれ強く握られる。