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「何の用?」


顔を上げて、固い何か、つまりは石を投げた学校で俺の前の席に座っている奴に問い掛けた


「目障りなんだよ。お前」
「だから?」
「消えろ」
「嫌だ」


即答すると奴は地面に落ちている石を拾い、大きく振りかぶり、それを投げた


「気に食わなかったんだよ!!お前の事が!!」
「知らねぇし」


額の辺りから流れる視界を奪う生温いものを拭って返した。またあの時と一緒だ、と思いながらも奴の事を見た


「何でお前みたいな奴が恵まれてんだよ!!」
「そんなもん人それぞれだろ。俺にはお前の苦しみは分からないし、お前にも俺の苦しみは分からない」


神様が平等じゃなければ、世の中も平等じゃない。皆それぞれ違い、その違いや自分よりも劣っている奴、普通から少しでもズレた人間を見下して生活している

俺からしたら普通ってなんなんだよ、っていう話だけど


「俺が恵まれてる?確かに俺は恵まれてるとも。だったら何だよ。お前だって、友達いっぱいいるクセに」


それに比べて俺は学校での友達なんて、下のクラスに江戸川達がいるだけだ


「そんなの要らない!!」
「要らないって何だよ。そんな風に自分で捨ててるクセに俺のせいにするな」
「うるさい!!」


奴は再び石を拾い、投げた

それは俺の顔に目掛けて飛んで来て、避けようと思っても体が動かなかった


「いった・・・」


右目に激しい痛みが走って、しゃがみ込んで右目の辺りを押さえた。地面には額からなのか、右目の辺りなのか分からないが赤色の液体がポタポタと落ちて行く


「痛いか?前よりも酷い事になって可哀想に」
「お前、」
「アイツ等にお前をいじめるように言ったのは俺だから」


俺の目の前に来て、見下ろして来る奴は言った


「ずっと、お前の事なんて大嫌いだった」
「・・・そうかよ」


ずっと俺はコイツに騙されていたのか。嫌いなのに、俺の傍にいたのか。嫌いなのに、俺の事を慰めてくれていたのか


「・・・ありがと」
「は?」
「嘘でも友達でいてくれた事、俺は嬉しかった。あの時、確かにお前は俺の支えになってたよ」


友達だったソイツを見上げて出来るだけの笑顔で言った


「・・・俺はお前のそういうギゼンシャみたいなところが本当に大嫌いだ」
「そっか・・・ごめん・・・」


謝った瞬間、ぐらりと視界が歪み、地面に倒れ込んだ。片目しか開いていない目はぼやけ始めていて、意識も保てなくなっていた

前のは平気だったのに、どうして今回は意識が保てないのだろう?そんな疑問と共に意識は遠退いて行った

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

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